Category Archives: 写真撮影の基礎

たかが一段、されど一段、照射角度の話 ~後編~

ここのところドタバタしてまして、いささか更新が滞っております(いつも通りですがw)。

さて、前回はクリップオンストロボの照射角度でどう違いがあるか考察しました。そこで今回は43インチのホワイトアンブレラを使ってテストしてみます。

前回同様、4カ所に印を付けていますが、今回は上下左右50cmで測定します。また、1.5mの距離で角度は45度くらいにしています。このセッティングの「45度」というのは意味があると言えばあるし、無いと言えば無いのですが、一応説明すると伝統的なライティングに「レンブラントライティング」という手法がありまして、概ねそれに準拠したセッティングです。

さて、それで露出計はシャッタースピード1/100、ISO感度100で設定しています。またストロボはGN58で出力は1/4です。

●105mm

●24mm

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さて、前回のストロボ直の場合と逆に、アンブレラを使うと24mmのほうが1/3程度明るいです。これは照射面積に依るところですが、まぁ、それでも違いは1/3段程度です。ただ、私の個人的な経験則ですが、アンブレラやソフトボックスを使う場合、24mmのほうが光の反射効率良いように思います(※私がいつもバカの一つ覚えで24mmにしている理由はこういうことです)。

(まとめ)

・クリップオンストロボの照射角度に関しては好みです♪

非常にいい加減なまとめですが、照射角度、特にオフカメラ、ましてやアンブレラやソフトボックスを使うときはさほどナーバスにならなくても良いように思います。

(余談)

ちなみにですが、スタジオ用ストロボ(モノブロックやジェネレータータイプのストロボ)の場合、「リフレクター」という機材を使って照射角度を変えます。ただ、こちらもさほどナーバスに使い分けているというよりは、買ったら付いてきたリフレクターを何も考えず使う場合のほうが多いんじゃないでしょうかね。




夏前にマスターしたい「ハイスピードシンクロ」 ~後編~

さて、前回はハイスピードシンクロについての定義や用語の整理をしました。

そこで今回は実際に何がどう変わるのかの説明をします。ただ、今回の説明は「ハイスピードシンクロ」を使った解説ですが、「ハイスピードシンクロの機能を除けば」、いつも言っている4つのパラメーターの原理原則に沿っています。

参考:

ストロボ撮影のための「絞り」

ストロボ撮影のための「シャッタースピード」

たまにはドン!と上げてみよう「ISO感度」

ストロボ撮影のための「フラッシュエクスポージャー」

皆さんの中にいままでの解説が「点のまま」の方もいるかと思いますが、これを機に「線」にしてしまいましょう。

まずはスタート地点から;

●ストロボ発光無しの状態

まずここをスタート地点としていろいろシャッタースピードによる変化を見ていきます。そこで今回はメーカー純正のストロボとTTLケーブルを使いました。

 

さて、ストロボの光量は1/4、そしてハイスピードシンクロに設定します。

ではシャッタースピードを一段ずつ上げて発光させて見ます。

●F5.6 1/60 ISO200 

特別な感じはしないというか、「ああ、そうですか」みたいな感じでしょうか。

それで、ここで見るべきポイントは何かというと「窓の外」すなわち環境光の変化です。ハイスピードシンクロの機能は「被写界深度を変えずに環境光をコントロールする」ことですからね。

そして次;

●F5.6 1/125 ISO200 

●F5.6 1/250 ISO200

 本来であればこれくらいのシャッタースピードで黒い帯が入りますが入ってません。さらにもう一段シャッタースピードを上げます。

●F5.6 1/500 ISO200 

さて、窓の外が暗くなっているのが分かりますが、ついでにストロボの光量自体も減っているのが分かると思います。

シャッタースピードで環境光をコントロールする、というのが鉄則ですが、実際のところストロボの光量にも影響するということが分かるかと思います。そして続いてシャッタースピードだけ変化させ、どうなるか、ハイスピードシンクロの限界である1/8000まで順に見ていきます。

●F5.6 1/1000 ISO200 

●F5.6 1/2000 ISO200 

地味な感じが続きます・・・・w

●F5.6 1/4000 ISO200 

●F5.6 1/8000 ISO200 

ひとまずハイスピードシンクロの限界の1/8000まで試してみましたが、真っ暗です。

また、ここまで見て、すでにハイスピードシンクロの同期速度についてはどうでもよくなっている(?)気がしなくもないですが、要するに;

・シャッタースピードで環境光をコントロールする。

・シャッタースピードでストロボ光に影響がある。

ということです。それでなぜシャッタースピードで環境光をコントロールする(という定義になる)かというと、通常のストロボで同期するシャッター速度は限定的(1/160~1/200程度)だからであって、実際には絞り(ストロボ光をコントロール)で環境光をコントロールする場合もあります(※黒バック潰しは絞りで環境光をコントロールします)。というのもそれぞれが独立した機能ではなく、相互に影響し合って露出は決まるからです。

では、1/8000の真っ暗な写真のISO感度を6400(5段アップ)まで上げるとどうなるか?

●F5.6 1/8000 ISO6400

露出で言うと1/250の例と同じになります。

今回はハイスピードシンクロの解説でしたが、あくまで「クリップオンストロボの機能の話」であって、その原理は今までも書いてきた原理原則から逸脱するようなことは無いんです。

これでハイスピードシンクロ、日中シンクロの理屈はおわかり頂けたかと思います。

(まとめ)

・被写界深度を変えずに環境光をコントロールしてストロボ撮影するための機能がハイスピードシンクロ。

・「ハイスピードシンクロ」はあくまでクリップオンストロボの機能の話。スタジオ用ストロボには無い機能。

ちなみに「被写界深度を変えずに」というのは一定の焦点距離での話です。焦点距離を変えることで被写界深度が変えることができるのは過去に説明しています。

参考:

これでバッチリ!「被写界深度」 ~前編~

これでバッチリ!「被写界深度」 ~後編~

言ってしまうとハイスピードシンクロはトリッキーな機能とも言えるわけです。そうは言いつつ、これから夏に向けて覚えておくと面白い表現ができると思います。

ただ、一つ気をつけるのは真夏のカンカン照りの日にストロボ発光させて写真撮っていると変な人だと思われますがねw

ではまた。

(以下、余談)

・その1

今月開催予定のワークショップですがお申し込みがイマイチですw今月の開催は無理っぽいのでそろそろ来月の開催スケジュールを考えることにします。

・その2

ワークショップの参加者や、時折頂く質問で、みなさんがよくつまづいているポイントに「背景」の考えがスッポリ抜けているんですね。私は「背景露出」と呼んでいますが(※「背景露出」というのは私の造語なのでそんな専門用語ありません。)、背景と被写体の相関性を考えないとライティング知識をどんなに詰め込んでも知識が「線」になりづらいように思います。特に今回説明した日中シンクロは被写体と背景の露出差を考えないと上手く行かないんです。

これは特に難しいことではなく、4つのパラメーターを常に意識すること、そして、最終的に露出は「面で決まる」ということです。この辺については改めて説明しなきゃならんなー、と思っていますが、これが活字で説明するにはどうしたら良いか、悩みどころではあります。




iPhoneアプリでレンズの画角を理解する。

今回はレンズの「画角(Angle of view)」についての説明です。それで簡単に「画角」とは何かというと;

・画角:カメラのレンズから写される範囲を角度で表現している。

です。カメラのレンズを買うときに「○○mm」とか言いますが、これは焦点距離のことで、ついでに簡単に説明すると;

・焦点距離:カメラのレンズ(光学的には「主点」)から撮影素子(工学的には「焦点」)までの距離。

となります。要するにレンズからセンサーまでの距離ということです。それでこの長さの違いによって画角も変わるというわけです。

よろしいですかね?

さて、それで本日は「画角」のお話です。

と、いきなりですが、ここで「○○mm」だと「○度」とかいう説明しても皆さんピンと来ないというか、ここでそんな説明しても怒られそうですし、そもそも説明するこちらが面倒ですwそこで今回はこちらのiPhoneアプリをご紹介♪

Lens Tutorial

これは何かというと端的に言ってしまえば焦点距離、被写体までの距離で画角がどう変化するかシミュレーションできるアプリです。これは良いです。実際に使ってみるとわかるのですが、簡単に説明すると;

設定としては「被写体までの距離」、「焦点距離」、「絞り」でそれぞれの数値をスライドさせると表示部分(緑の線)が変化します。この場合は被写体までの距離が1.5m、焦点距離28mm、絞り2.8ということです。右下のバーをスライドさせるとそれぞれのパラメーターが変化します。また、焦点距離200mmのレンズだとこうなります。

それでこのアプリは被写界深度(上部の青い台形)も表現されてます。また、設定でカメラの機種も選べますし、オプション(有料)を買うと絞りやレンズの焦点距離のバリエーションも増やせます。

いずれにせよ、これは実際に使ってみると分かります。

(まとめ)

・焦点距離と画角についてモヤモヤしている人には参考になるアプリです。

ということで2014年最初のお題としてはいささか地味な気もしますが、焦点距離や画角は撮ったときの被写体の形状や印象にも影響しますのでけっこう重要なポイントだと思います。

ひとまずこんなところで。




コラム:お勧め書籍のご紹介

今回は久しぶりにお勧め書籍のご紹介です。私はさほど本読まないのですが、本日ご紹介する二冊はお勧めです。

それでは早速;

●静物写真のルールブック/飯田 英里 (著), 石井 命子 (著)

こちらはワークショップの卒業生でもある石井さんが共著で、料理関連部分を担当されているそうです。石井さんはもともと料理専門のカメラマンというのはお聞きしていましたが、けっこう料理写真関連のノウハウが充実していて「お!」みたいなことも書いてありす。

それで個人的には「ルールブック」というか「こうしろ!」みたいな本は好きじゃないんですが、こちらの本は確かに「ルール押しつけ」的ではあるものの、辞書的に使えると言いますか、1ページに1テーマにまとまっているので手元においておくと便利かも知れません。また、機材の準備からレンズの解説などもしてあってご自身の撮影技術の「引き出し増やす」には良いと思いますし、そういう意味ではよくまとまっていると思います(こうして体系的にまとめるのは大変だと思います、ほんと)。

あと、個人的にお勧めポイントは「広く浅くポイントを押さえているところ」で、レンズの歪みについても書かれており、この辺って意外と盲点です。

また、以前当ブログでも「露出と光質」について解説しましたが、そこについても記述があります。

(参考)

盲点?露出と光質 ~前編~

盲点?露出と光質 ~後編~

私はいつも言っているのですが「光質」というのは露出と関係なく、被写体の質感は光質で表現するしかないわけで、ほー、けっこうツボ押さえてるな、と。

最後に;

この料理写真の盛りつけ方なんてのは共著の石井さんの専門領域で「なるほどぉー」と思う内容も網羅されてます。この辺はさすがに専門家だけはあるな、と。

全体的に「広く浅く」が特徴の本で、かといって「お気軽お手軽」みたいな内容でもなく、前述しましたが辞書的に手元においておいて、都度参考にする使い方ができる本です。作例なども豊富だし、1ページ1テーマの構成というのは読みやすいんじゃないでしょうか。

ただ、先日石井さんにお会いしたときに「タイトルと装丁失敗じゃないですかね?」と言ったのですが何やらこれってシリーズで出ている本で他のタイトルとのバランスがあるので著者側で決められるものでもなく、結局こういうタイトルと装丁になったそうな。

内容に比して書店でぱっと見た感じの印象が浅くてもったいないな、とは思いました。良書です。

さて、もう一冊。

●デジタル写真の色を極める! /桐生彩希 (著)

ここのところ会う人会う人に絶賛しているのですが(笑)、この本はお薦めです(特にプロ)。色やヒストグラム、レタッチなど(私なんかは典型ですが)曖昧なまま実務に勤しんでいる方は多いと思いますが、そうした悶々とした自分の知識を体系的に整理できます。これも上述した「静物写真のルールブック同様手元においておくと便利な本です。

特にヒストグラムやトーンカーブの解説なんかは秀逸です。

それで先日「カメラのヒストグラムの使い方」は説明しましたが、そんな子供だましじゃありません(笑)何をどうしたらどうなるかを体系的にまとめてあります。

あと、この著者の方はよく存知あげませんが、個人的にはこの方と気が合いそうです(笑)というのも「基本」を大事にされている点と「そもそも正解は無い」という立ち位置で解説されており、そこいらの「インチキ解説書」とは違うと思いました。

やはり「基本」を大事にした内容なので「10年経っても使える知識」と謳っている部分は納得できます。

そうした前提できわめて簡潔な内容にまとめて書いてあります。この文才はなかなか凄いです(※私は無理ですが)。

あと、写真撮るときもそうですが、「目指すイメージ」、「どうしたいのか」が具体的になっていないとレタッチも同じようにどうしようもない、という点については「なるほどぉ」と思いました。

それにしても雷鳥社の「写真の学校シリーズ」はなかなか外れが無いのはいつも驚きます。

ってかこの本けっこう売れてるんじゃないでしょうか。

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今回紹介した二冊はいずれも良書です。他の解説本に比べると価格も良心的だと思います。

恐らくこの二冊で悶々としていた知識が整理され、体系化される方は多いと思います。

少なくとも私はそうでした(笑)

ではまた。。。

 




天井バウンス考察 ~前編~

今回は「天井バウンス」について考察してみます。よく「天バン」と言われている奴です。「天バン」という略語は「天井バウンス」の略語だと思われるのですが、時折「天井バンス」という方もいらっしゃいます。これはあくまで「Bounce」の略なのでお間違いないように。

それでなぜ「考察」かと言いますと、私自身は「天バン」を滅多にやらないからです(※「壁バン」はちょいちょいやります)。また、今回は影の付き方、というよりは「光の回り方」にスポットを当てています。

それでまずは一番ベタな奴から見てみましょう。

●その1:90度天バン

これはストロボに何も付けず、ただストロボヘッドを天井に向けています。

ただ、そもそも天バンは「天井が低くないと効果がない」です。当スタジオの天井高は2.3mです。なのでそれなりに効果はありますが、天井の高いところだと天バンの効果は期待できません。ただ、天井高を全くものともしない光量のストロボを使えば話は別ですが。

ちなみに、ストロボを発光しないとこういう感じです;

真っ暗です。カメラの設定はISO200、シャッタースピード1/100、絞りはF5.6で、ストロボは1/4(GN58)です。

これをスタートラインと言いますか基準点とし、いろいろ見てみましょう。

さて次:

●その2:45度天バン

ストロボのヘッド部分を45度傾けました。ノーマル天バンよりも被写体に当たる光量が多いのが分かります。

そこで、一つ重要なのは「入射角と反射角」です。光というのは「直進する」という性質があり、光は当たる角度と同じ角度で反射するのです(※「入射角と反射角」については改めて解説予定)。この理屈を理解しているとストロボヘッドを45度に傾けるとどういう結果になるか容易に想像できます。

ひとまずこの二つを比較するとこうなります;

注目すべきポイントは、光の当たっている面が移動している点。90度の場合は天井に反射した光はそのまま90度(この場合真下)に反射していて、一方45度は前方に光が飛んでいる点です。被写体に当たっている光の明るさが異なるのがおわかりになると思います。

●その3:90度キャップディフューザー付き

今度は90度天バンですが、いわゆるキャップディフューザーを付けています。

この場合、「何も付けていない90度天バン」よりは光がディフューズされています。天井に当たっている光の輪郭がぼやけているのが分かります。また、それに加えてストロボ周辺が明るくなっています。

キャップタイプのディフューザーを付けると、その「ディフューザー部分」が発光体になるため、周辺にも光が飛んでいるのが分かります。

こうしてみるとキャップディフューザー付きのほうが何も付けていない状態よりも光が柔らかく、光も回っています。天井が高いような場所であえて天バンさせるような撮り方をするならこういうキャップディフューザーを使うとストロボ周辺にも光が多少なり回るので有効かと思います。

それでここでややこしいことを一つ言いますと、光は反射する物が無いと可視化できない、ということです。キャップディフューザー「有り」も「無し」も同じ光量でストロボを発光させているのですが、「有り」は発光しているのが分かりますが「無し」は発光しているのが分かりません。また、「光の明暗」は反射しているものがあるから分かるのであって、反射するものが無いと分からないということの裏返しでもあります(※実にややこしい理屈で伝わっているかいささか不安ではあります)。

●その4:バウンスボード

さて、前述した「ややこしい理屈」を踏まえ次に進みますが、皆さんお持ちのクリップオンストロボにこういうのが付いているタイプを使っている方は多いと思います。

これはバウンスボードとかキャッチライトパネルと言われているものです。個人的には使ったことないので効果のほどはよく知りませんが、何も付けない天バンの場合、被写体(人物)の目にはキャッチライトが入りません。そこでこのパネルを使うことでキャッチライトを入れるわけです。ちなみにこれを使ってバウンスさせるとこうなります。

何も付けない90度バウンスと違うのは天井に当たった光が切れているってことでしょうか。「バウンスボード」と言われる所以としてはストロボ後方に飛ぶ光を前方に反射する、という意味も含まれていると思いますが、これを使うことで特別前方に飛ぶ光量が増えているようには見えません。なのでやはりあくまで「キャッチライトを入れる」のが目的のようにも思います。

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ひとまず今回はオーソドックスな天バンについて考察しました。後編ではモディファイヤーを使った考察をします。

(まとめ)

・天井バウンスは天井が低くないと効果が期待できない。

・入射角と反射角の関係を意識する。

・光は反射するものが無いと可視化できない。

ひとまずこれくらい押さえておけばいいんじゃないでしょうか。

【ワークショップはこちらから↓】

今月と来月のあと二回だと思うとちょっとしんみりします。。。。




ホワイトアンブレラVSシルバーアンブレラ ~後編~

さて、今回は前回の「ホワイトアンブレラVSシルバーアンブレラ」の後編です。

前回はシルバーアンブレラの特徴について説明し、その中で「光量落ち」に触れました。それでこの「光量落ち」というのはどういうものかと言いますと:

これまた言葉で伝えるのが難しいのですが、ホワイトほど光が遠くに届かないと言いますか、広がらないと言いますか、見たまんまです・・・・(説明として完全に成立していないですが(T_T))。

なので、使うときは被写体に当てる角度や位置に気をつけないとなりません(これは慣れてしまえば問題無いレベル)。

それで使い分けについては撮影意図や被写体をどう見せるかなど、他の機材同様あくまで自分の好みやクライアントの希望で使い分けます。ここに正解はありません。

最近のトレンドとしては高級ファッションを紹介しているような雑誌では、シルバーアンブレラやオパライトが使われてるように思いますし、10代、20代向けの雑誌ではホワイト、もしくは自然光が多いかな?という気がします。

さて、ここで「応用例」と言いますか、シルバーアンブレラと同様の効果が得られる機材を紹介します。

・・・ソフトボックスです。それでお持ちの方はご存じですが、こちらは内面が「シルバー」です。

要するに、照射面に取り付けるディフューザーを外せば「シルバーアンブレラ代わり」になります。特にこちらはソフトボックスなのでアンブレラよりも指向性があり、光がどこ飛んでいくか分からないというリスクは低いです。

今回は「オクタゴンタイプ」で試しました。

ソフトボックスなので光の回り方がアンブレラよりもまとまり感がありますが、被写体のコントラストや色味はよく似ています。また、影の付き方も似ています。

シルバーアンブレラが無くても、「似たような効果」はソフトボックスでも表現可能ということです。

(まとめ)

・シルバーアンブレラは光量落ちするのでセッティングの際には注意が必要。

・シルバーアンブレラと同じ効果を狙うならソフトボックスでも代用可能。

ひとまずこんなところでしょうか。シルバーアンブレラに関して二回に分けて説明してみましたが、これ以上詳しい説明の仕方も思いつかず、やはり慣れとか経験を積んで「感覚的に体得する」ってのが一番スマートな気がします。

(余談)

よく歯医者さんに行くと当てられる照明ありますよね?あれは「無影灯」と言って手術用の照明です。直接光を当てずにリフレクターに当ててから患者さんに当てられてますが、あの内側って「シルバー」なのは皆さん気付いてましたか?なぜシルバーかというと、今回解説したシルバーアンブレラと同じ理屈です。

「無影灯」と言っても実際には影が付くようですが、被写体のサイズに合わせた光源なので小さいですが、反射面は乱反射させれるよう工夫されています。

いずれにせよ原理原則は写真に限らずいろんな分野でも使われているってことです。

【ワークショップのご案内】

18日に予定していた平日ワークショップは申込者未達のため中止にしました(T_T)

あと、来週末は通常のワークショップを予定していますが、どうも連休の多い月は申込みが渋いです。

こちらは引き続き募集しますが、ちょっと今月は何かといつもとは調子が違うようですな。

 

 

 




ホワイトアンブレラVSシルバーアンブレラ ~前編~

今回はアンブレラの「内側の色」の話です。

アンブレラの反射面にはホワイト、シルバー、ゴールド、ゴールドシルバーと世界的に見て4種類くらいあります。いかんせん、ゴールドとゴールドシルバーについては日本国内では流通量も少なく、私の個人的な考えでは日本人の肌の色に起因するのか日本ではほとんど見かけません。白人の場合、白すぎるのでゴールドを使う場合があるにはあるように思いますが、それでもマイナーなタイプです。

そこでひとまず日本で馴染みの多い、ホワイトとシルバーの違いについて説明します。

まず先にそれぞれの特徴と言いますか、定義としては;

●ホワイト

反射する光が柔らかく、ソフトな光質。光に広がり感がある。もっともポピュラーなライティング機材として愛用者多数。

●シルバー

反射する光が硬く、カッチリとした光質。コントラストや色味を強調するときに使われる。ホワイトアンブレラに比して光量落ちが激しい。

ザックリとこんなところでしょうか。実際のところホワイトアンブレラが主流で、シルバーアンブレラについて「???」という方も多いかと思います。でも、そこには前述したとおりちゃんと違いがあります。

そこで実際にどういう光の飛び方をするか見てみましょう。

●ホワイト

●シルバー

さて、どうでしょうか?違いが分かりますか?ね?

細かいことを言うと見るポイントがいくつかありまして、まず影の付き方が違います。同じサイズのアンブレラですが反射面によってこれほど変わります。シルバーのほうが影の付き方が強いのは、シルバーアンブレラの特徴でもあります。こういう光質を「硬い」とか「硬質」とか表現したりします。

また、ホワイトは光の「広がり感」があるのに対し、シルバーはかなり光量落ちします。

さて、次に実際の被写体を間近で比較してみます。

さて、ここから説明が難しくなってきます。以前、この記事の雑談で「説明が難しい」と書いたのは、この「違い」を上手く言葉で表現できないからです。

確かに、ホワイトとシルバーで「違う」のは分かると思います。ホワイトのほうは全体的に柔らかく、シルバーのほうは表面の質感が表現されています(色味とコントラストが強調されている)・・・・・。

でも、こう書いても実際のところ「見る人によって感じ方違う」んです。また、「サンプルの被写体」もイマイチでなおさら伝わりづらいとも思います。

さらにこれを「サイズ違いで比較」なんてしようものなら言葉でどう言えば良いのか分からないです。ワークショップでもこの違いを説明するフレーズを毎回考えていますが、「感じ方」の違いは否定できず、ましてや普段から使っている人ならまだしも、初めて見た人にとっては「???」となります。これが;

説明できないものを「なぜ説明できないか?」を説明することはできる!

と言っていた部分です。

話がちょっと逸れますが、例えば「カレーの辛さ」ってありますよね?5倍とか10倍とか20倍とか。でも、20倍食べてもちょっと辛いかも?みたいな人はいますし、5倍でも死ぬほど辛いと感じる人がいるのも事実です。ただ、この辛さの感じ方を表現するボキャブラリーって実際のところ「辛い」が主であと修飾語が付くわけですがそれでも数は知れてます(「超」とか「まあまあ」とか「かなり」、「けっこう」などなど)。

このアンブレラの色の違いの説明がこれに近い、というわけです(・・・こんな説明の仕方で伝わっているのか不安ではありますが・・・)。

それでまず理解しておいたほうが良いのはザックリとした違い、そしてあとは「慣れ」というか「経験値」でサイズによってどう変わるかを感覚的に覚えておく、と言ったところでしょうか。

さて、次回は今回少し触れた「光量落ち」と「応用例」を説明します。

(まとめ)

・ホワイト、シルバー、アンブレラの色にはそれぞれ意味がある。

・こればかりは慣れや経験を積んで感覚的に覚える。撮影意図によって使い分ける、しかない(と思います)。

・最終的には人の「感覚」や「心」が決めるので明確な定義ができるわけではない。

ある程度どういうジャンルでどちらが使われているか、という傾向は掴むことは可能ですが、これは時代の流行廃りで変化しますので一概に言えない部分でもあります。

と、いうことでひとまず。

【ワークショップ】

引き続きワークショップの申込み受け付けてますので。興味のある方はこちらから。

毎回そうなんですけど皆さん「直前」にならないと申し込まないんですね。そのことを否定しないんですがもっと「前のめり」でも大丈夫ですよ(笑)

一度受講すればライティングなんて楽勝になるし、生涯使える知識です。

 




「スタート地点」を決める。~マニュアル撮影の設定~

さて、今回は「マニュアル設定での撮り方」の話です。

前回のワークショップで話したら意外とリアクションが良く、「ああ、そういうことか。」と納得しました。

それはどういうことかと言いますと、要するにやれ露出計だの、ライティングだの言ったところで「マニュアル撮影とはどういうことか」を理解していないとなにも始まらないということです。

時折、「露出計は持っているのだけどストロボをマニュアルでどう設定して使うか分からない。」と聞かれるんですね。ただ、私もこう聞かれると「???」となるのですがその疑問がやっと解けました。

いいですか、まずは「スタート地点を決める」ことが重要です。

この「スタート地点」というのは何かというと「カメラの設定」のことです。最初からカメラの設定を決めるんですよ、マニュアル撮影は。

※ここで言っているのは「私の方法」であって他のカメラマンさんたちがどうやっているかなんて知りません。

撮影意図にも寄りますが、そんな面倒なことはさておき、ライティングするときに自分が一番好きな設定を最初からしてしまうのです。細かい話はさておき、私の場合どういう設定をしているかと言いますと;

・F値:5.6、もしくは8

・シャッタースピード:1/100

・ISO:200

・ストロボ:1/4(GN58のストロボを使用)

です。

それで、この設定で試し撮りしてあとは随時撮影意図に従ってそれぞれの設定を変えます。それだけのことです。設定を変えると言っても、露出トライアングルフラッシュエクスポージャー、これらの概念に基づいて変えているだけなので難しくないですよね?(たぶん)

デジタルなのでカメラの液晶モニタで撮影結果を確認しながら撮るのでこういうスタイルなわけですが、正直私はフィルムで撮影の仕事したことないのでフィルムの時がどうなのかなんて知りません(知ろうとも思ってません♪)。

ただし、これは持っているカメラやレンズなどで変わるのと、この「スタート地点」というのはあくまで「好み」の問題です。

そこで私が使っている機材を紹介すると;

カメラ:Canon5D MkⅡ

レンズ:Canon 標準ズームレンズ EF24-105mm F4L IS USM

レンズとカメラはこんな感じです。基本的にレンズはほぼこの一本です。

そこでなぜカメラの設定が前述のようになったかと言いますと;

・F値:5.6、もしくは8

これはレンズが解放F4なので「一段か二段下げる余地」を残したいからです。解放のまま撮影すると撮影中に設定変えるときに時間を要するのと、被写界深度を深めにして、シャープさを優先しているからです。ちなみにレンズの明るさに拘る人がけっこういらっしゃると思いますが、ストロボを使った撮影ではさほど開放値の小さなレンズ(明るいレンズ)ってのは必要ないようにも思います(これまた好みの問題ですが。ただ、「明るいレンズじゃなきゃダメ」ということは無いです。)。

・シャッタースピード:1/100

レンズの焦点距離が最長で105mmなので1/100で撮ればまー手ぶれのリスクは回避できます。一応、手ぶれ補正のあるレンズですが、教科書通り「1/焦点距離」というところでしょうか。あとはズームレンズなのでいろいろと画角変えたり、動きながら撮るので最もリスクのないシャッタースピードとでも言いますか、まぁ、そんな感じです。

・ISO:200

これまた絞り同様「下げる余地」を残したいからです。5DMkⅡのISOは最小で100なんです。なのでとりあえず200にしている感じです。正直400でも良いかな?、と思うことはありますし、その辺は撮影状況で変えてます。ISO200で撮れば多少暗ければ400や800使えますし、明るければ100にして一段落とせばいいのでね。

最後にストロボに関して言えば1/4というのはリサイクルタイムも短く、「あと二段上げられる」という余裕と、「1/128」まで落とせるならあと5段分下げることができます。正直なところ1/4だと明るすぎる場合もあるので1/8とかも多用し、暗ければ逆にISOを上げることでリサイクルタイムの短縮やバッテリーの寿命を保つ場合もあります。これまた撮影状況に寄ります。

さて、ここでお気づきの方もいると思いますが、私の設定というのは「常に上下に変える余地がある」という点です。バスケットボールで言うところの「ピボット」のイメージです。なんと言いますか、軸を決めて常に動けるようにしておくと言った感じです。

どうですかね?こんな感じの説明で。

実際の撮影では前述の設定で、「テスト撮影→各種パラメーター調整→テスト撮影」を数回繰り返し「本撮影」という流れです。このとき頭の中は「絞り、シャッタースピード、ISO感度、ストロボの光量」の4つのパラメーターがグルグルします。

本当に「グルグルする」んです。それで私の場合はこの「グルグル」を数秒でやるのです。ちなみにこれは練習を積むことで誰でもできるようになります。そしてこれができるようになって初めて「露出計」が意味を持つのです。

 (まとめ)

・スタート地点(カメラの設定)をまず決める。

・設定変更は露出トライアングルフラッシュエクスポージャーの原理原則に基づいており、特別なことは何もしていない。

・ひたすら練習することで身に付く技術です。

こんなところでしょうか。プロだから何か違うことしてるんじゃないのか?と変な期待をされている方も少なくないように思いますが実のところ基本に忠実に、それぞれの設定値の意味をきちんと理解すること、これだけです。

いずれにせよ一度試してみてください。

●第7回ワークショップのご案内

次回は8月24日(土)の開催です。(まだ募集中です)

※すでにお申し込み頂いておりますが、当事務所規定の人数が集まらない場合中止の可能性があります。

※8/20(火)を締切とさせて頂きます。

※年内は毎月開催予定ですが、年明け以降のスケジュールは未定です。