黒いものを黒バックで撮る ~黒バック潰し 実践編~
「黒いものを黒バックで撮る ~黒バック潰し 準備編~」を書きましたが今回はその続きです。
実践編と言っても完成写真はご覧にいれておりますので、どういう設定で撮っているかを解説します。
まずはストロボの位置と出力は;
です。リングフラッシュがフルパワーなのは、このリングフラッシュは光量落ち強いのと、絞りでストロボ光をコントロールするためです。これは絞りでストロボ光をコントロールするのと、シャッタースピードだけで環境光をコントロールしきれないからです。要するにストロボ光量を上げつつ、絞りでも環境光をコントロールしているということです。撮影設定は;
F8.0、1/160、ISO400
です。ポイントはシャッタースピードですが、これ以上早くするとストロボと同期しない(画面に黒い帯が出る)ためで、それ以上の環境光は絞りでコントロールしているということになります。ISO感度が400なのはこの絞りとシャッタースピードで撮った結果、少し暗かったのでISOを上げました。その結果が↓です。
そこで多灯発光した理由と言いますか、A(メイン)、B、Cと三本あるストロボがどのような効果を持っているかを紹介します。よく「多灯ストロボ」と聞くと思いますが、多灯にするのには理由があるんです。
(※撮影設定はすべて前述した設定値のままです)
●メイン(リングフラッシュ)のみ
一目瞭然と言いますか、ライトスタンドの下の方はほぼ真っ黒です。また、右側上部も光が当たっていません。ただ、この時点で背景が黒く潰れているのと、ネジや結合部分の質感は表現できています。
あとはBとCのストロボ次第です。
●メインとストロボB
ライトスタンドの下の方が見えてきました。文章で表現するの難しいんですが、白くラインが見えるというか、ライトスタンドの輪郭が表現されていると言いますか。また、上部の接合部分の右側にも光がほんのり当たっていてライトスタンドの形が見えています。
それでここでポイントなのは最初に書いたダイアグラムの設定で「照射角度105mm」としたのは光が回りすぎないようにするためです。また、ストロボを「縦にして」使っています。
細長い被写体なので「縦に」使っています。あと、文章で説明するのが難しいので割愛しますが、光の当て方は「サーフェイシング」と言ってスタンドの表面を狙って当てています。この当て方をすると若干正面にも光が回るんです。
ちなみにストロボBだけだとこんな感じ;
●メインとストロボBとストロボC(3灯同時発光)
さて、最後に3灯同時発光です。
まぁ、要するに完成ですね。
ちなみにストロボCだけだとこういう感じです;
それでここまで見ていただくと、それぞれのストロボには役割や意味があるということです。こうして撮れば真っ暗なところでも黒い被写体が撮れるんです。
(おまけ)
●ストロボBとストロボC
あえてメインライトを使わないで撮るとこうなります。これって被写体がライトスタンドというだけで、ポートレートなんかで使うとけっこうドラマチックに撮れます。もしくはストロボ2灯を後ろから当ててしまうというのも面白いです。
(まとめ)
・多灯発光にはそれぞれ役割を考える。
・被写体の何を表現したいものの中心にするか、どこを強調するかを考える。
・被写体の材質を踏まえてライティングを決める。特に商品写真の場合は重要。
余談ですが、各メーカーのカタログとかを見ていると突如多灯発光の例を紹介していますが、あれじゃなかなか伝わらないと思います。「買わせること優先」なのは伝わるけど(カタログってそういうもんだけどw)、使う必然性を感じさせるような内容を見たことがないですね。
ひとまず今回はこんなところで。
※すっかり忘れいていましたが、5/26開催の第五回ワークショップは20日(月)締切です。
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