意外と重要な「月の撮り方」
時折「月が上手く撮れない」という話を耳にします。確かに満月は綺麗なので撮りたくなります。でも実際に撮ってみると;
こんな感じになったりするんじゃないでしょうか?これはカメラのPモードで撮っていますが、オートモードで撮っても同じです。そこで最初に言ってしまうと月はマニュアルモードじゃないと撮れない、ということです。
それで誤解している方が多い点として「暗いから明るくしよう」という意識が働く(カメラ内蔵の測光方式も同じ)のでこうした明るくてぼやーっとした写真になってしまいます。
実際にはその「真逆」で暗く(絞る)しないと月は撮れないのです。そこで最初の撮影例の設定をみると;
明らかに違います。撮るときの発想は「月に露出を合わせる」ことが重要で、ファインダーから見える全体に露出を合わせないということです。
そしてこれは「露出トライアングル」の応用で、両者の違いは「みんなの嫌いな『段』の話」で説明した考え方で説明できます。
1番目の写真が;
F5.6、ISO100、1/100
2番目の写真が;
F4.0、ISO3200、1/15
なので1番目の作例は2番目の作例と比較して8.5段分暗い設定ということになります(※この計算もみんなの嫌いな『段』の話で説明した方法と同じですからね)。
それでは実際に撮る場合どうやって撮るか。まず;
・カメラをマニュアル設定モードにする。
・ISO感度を100か200に設定する。
・シャッタースピードは「1/焦点距離×1~1.5」に設定する。
例)焦点距離105mmの場合:1/(105×1.5)≒1/160か1/125くらい
・絞りはF5.6くらいから試し撮りしてみる。
絞りとシャッタースピードのバランスに関しては「露出トライアングル」の応用です。あとは実際に撮りながらそれぞれの設定を調整すればOK。それぞれの設定についての考え方は;
を参考にしてください。また、月を撮るとき「望遠レンズを使うと手ぶれする」、と誇らしげに言う人がいますが、完全に間違いです。そもそもシャッタースピードを速くして撮るので手ぶれの心配はないです。
さて、それで このタイトルになぜ「意外と重要」と付けているかというと、月の撮り方でライティングテクニックの基本部分の説明が可能だからです。
「月」は月そのものは発光していません。太陽の光を反射しているだけですが、これは太陽光をバウンスしている「光源」です(「月明かり」と言うくらいですし)。そして光源を撮影するというのはストロボ光をコントロールするテクニックを使いますし、シャッタースピードで環境光や手ぶれをコントロールするテクニックも同様です。
すなわち月を撮影するには露出トライアングルの概念を理解しているとあっさりと撮れるようになるというわけです。
(まとめ)
・月を撮るときは月に露出を合わせる。
・月を撮るときは「暗く(絞る)する」ことを意識する。
・月を一種の「光源」として考えてみる。
とにかく、「露出トライアングルが基本となる」ということを意識することが重要ということです。
ひとまず好みの月が出ていたらとりあえず撮ってみるべし!
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