たまにはドン!と上げてみよう「ISO感度」
ISO感度の話です。
端的に言ってしまえばISO感度は上げると明るくなり、下げると暗くなる、それだけです(笑)
ただ、そうは言ってもISO感度は「露出トライアングル」の要素であり、絞りやシャッタースピードとの相関関係ががあります。例えば暗い場所で撮影するときに、ISO感度を上げることでシャッタースピードを速くすることで手ぶれ対策が可能なので変更したりします。カメラのオートモードやPモードでISO感度を自動設定にしているとISO感度が高くなるのはそういうことです。
また、被写界深度やストロボの光量を変えずに写真全体を明るさを変更するときにISO感度を変えることで対処する場合もあります。
そして、ISO感度にも「段」の概念があり、一段ずつの場合;
100、200、400、800、1600、3200、6400・・・、となります。それで実際にISO100から6400までの7段階を撮ったのがこちら↓のGIFアニメです。
撮影時の設定は絞りはF5.6、シャッタースピードは1/60で手前の四角いオブジェにストロボを当てています(ストロボの出力は一定)。当然ISO感度を変えるとフラッシュエクスポージャーにも影響します。それは前述しましたが単純に画像全体が明るくなるのでストロボの出力もそれに応じて調整する必要が出てきます。
さて、皆さんご存じの通り、ISO感度を上げると画質が荒れるデメリットがあります。最近のデジカメはセンサー性能の向上に伴い、高ISO感度でも使えるようにはなってきましたがそれでも画質が荒れてしまうリスクはありますが、そうした性質を考えながら使いこなすことが必要です。
●用途(媒体)を考える。
まず、ISO感度を変えるときに考えるべきは「用途」です。写真の用途は大きく分けて;
・PC(Webや携帯電話など)
・紙(印刷物)
の2種類です。それで撮るときに画質を考えてISO感度を選ぶことが重要です。ここを間違えると撮ったあとに取り返しの付かないことになります。特に紙媒体はデータの品質がシビアに反映されるので注意が必要です。画面で見るのと実際にプリントされてきたもののイメージが異なるというのはよくあることです。
●粒状感を活かす。
ISO感度を上げると画質が荒れると言いますかザラついた感じ(粒状感)になりますが、逆にこうした性質を生かした撮り方もあります。たとえば;
強烈な逆光下でISO感度を1600にして撮っています。ある程度撮影結果をイメージしつつも「実際に撮ってみないと分からない」といういささかリスキーな撮り方ではありますが、表現手法としては覚えておいて損はありません。
単に「ISO感度を上げる=粒状感が出る=悪」と決めつけてしまうのではなく、そうした性質を理解しておくことで撮り方のバリエーションが増えます。
●夜空を青く撮る。
夜の空は暗い、というのが普通ですが、「暗い」だけで「黒く」はないのです。そこで夜空を青く撮ることで同じ夜でも雰囲気の異なる写真が撮れるんです。そしてその場合ISO感度を上げて撮るテクニックが有効です。
撮影時刻は18:27で10月29日に撮影したので周囲は暗いです。空が青いのが分かると思います。また、ISO感度を下げ、シャッタースピード長くして撮っても同じですが、その場合手ぶれの不安が出てきますし、シャッタースピードは環境光に影響しますので必要以上に明るくなったりします。
(※シャッタースピードを長くして手ぶれした例)
いずれにせよ、撮影環境や被写体などでも変わってくるのでこの辺は慣れというか、経験を積むしかありません。
●ISO感度6400で撮ってみる。(「空を青く撮る」の応用)
これはISO感度を6400にして撮影した例です。撮影光景を撮ろうと考えたのですがすでに周囲は真っ暗です。光源らしき光源は左にある街灯だけです。ただ、木々の間からうっすらと空が見えており、この真っ暗な森の向こう側に空の青さを入れようと狙って撮っています。
この場合、人物も入っており、彼らは撮影しているので動きますから遅いシャッタースピードは使えません。そしてシャッタースピードを長くすると環境光に影響するので全体が明るくなってしまい、街灯が今以上に明るくなったり、森の暗い雰囲気が失われる可能性も出てきます。
そこで多少荒れるかも知れないと思いつつ、ISO感度を思い切って6400まで上げて撮影した、というわけです。
(まとめ)
・ISO感度は写真全体の明るさに影響する。
・「露出トライアングル」の要素の一つであり、絞りやシャッタースピードとの相関関係を意識する。
・ストロボ撮影時にはストロボの出力にも注意する。
・ISO感度を上げれば画質が荒れるリスクはあるが、時には思い切ってISO感度を上げて撮ってみる。
いずれにせよISO感度は「露出トライアングル」の要素の一つであることを常に意識し、絞りやシャッタースピードとの相関関係を考える必要があります。
撮影するときはこの↑「露出トライアングル」を常に頭にイメージすることが重要。
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