大きな光源、小さな光源
さて、本日はライティングの基礎の基礎、「大きな光源、小さな光源」という概念について。
意外とみなさんこの辺理解していないのです。
クリップオンストロボを買うとこういうの↓買いますよね?
これはストロボの発光部に取り付けるだけなので簡単で便利です。私も機材のセッティングが面倒なときはこれで済ませることもあります。ただ、こともあろうに当事務所パートナーのM氏が;
「このストロボの先に付けるディフューザー(↑これね)で十分なんじゃないかと思うんですよ。」
などと言ったので、
「それは断じて違う!」
と一喝し、これは一度ちゃんと説明しないとならん!、と思ったわけです。
だって、こんなもので事足りるなら誰も苦労しないし、どうしてたいそうな機材があるのか誰も説明できない。
いろいろな機材には一応、それなりに理由があるのです。
また、ライティング機材のことは知っていても「光源の大きさ」については知らないか、感覚的に理解していてもいざ説明するとなると「?」となる方もいらっしゃると思います。実のところこの理屈が分かればたいていのライティング機材の原理原則は理解できると思います(たぶん)。
●大きな光源、小さな光源 ~まずは言葉の定義~
まず言葉の定義から書きますが、ここで言う大きな光源、小さな光源というのは「光量の大小ではない」ということです。照射される光の「面積」が重要なのです。
英語では「Large Light (Source)」、「Small Light (Source)」と言います。あくまで「Light Source」であって「Power」ではないのです。あくまで「面積」を意識しましょう、ということです。
ちなみに今回使ったのは;
・RE-110の中身を利用:スクリム(斜幕でディフューザーとして使います)
さて、作例を見ながら解説します。作例の設定は全てISO100、F5.6、1/100、ストロボの出力は1/8、です。
まずは「小さな光源」の例から。
1.そのまま照射(「ベアバルブ」とか「ストロボ直」と言います)
まず、これはCD-ROMの真上からストロボを直接照射して撮っています。ダイアグラムは;
ストロボから直接照射される光というの堅く(Hard LightとかHarsh Lightと言います)、中央に集光され、コントラストがはっきりするのが特徴です。ただ、実際には「あまり好まれないタイプの光質」だと思います。
2.ディフューザー(前述した小さい奴)装着時
前述した小さなディフューザーを付けて撮っています。ディフューザー越しなので光量が落ちています。一方、ベアバルブ(ストロボ直)よりも落ち着いた光になってますが盤面の中央部分はハイキーな部分が残っています。
確かにディフューズはされていますが、光源としての面積が小さいのでストロボ中央の光量が強いまま照射され、その影響が残って中央部分がハイキーなまま、ということです。
さて、次は「大きな光源」の例;
3.スクリム越しに照射
この撮影例では盤面に均等に光が照射されているのが分かると思います。それでこのダイアグラムは;
こういうことです。光の照射される面積が最初の二つの例よりも「大きい」ことが分かります。これが「大きな光源」ということです。また、ポイントはストロボとスクリム(ディフューザー)の距離を「離す」ということです。
ただ、「距離を離す」ということは「光量(Powerね)」も必要になるということを忘れてはいけません。これは「逆二乗の法則(Inverse Square Law)」と関係してくるのですが今回は「ザックリ理解することを優先」するためにその説明は省略します。
一方、ストロボとスクリムの距離を縮めた場合の例は;
●ストロボとスクリムの距離を縮めた場合
二番目の作例とそっくりな撮影例になります。これはこういうことです;
ストロボからスクリムまでの距離が短く、十分に光が拡散されず、照射された光量がそのまま突き抜けている状態です。特にストロボの光は中央部が強いのでディフューザーまでの距離というのも重要になります。一概に間に何か挟めば良いというものではない、ということが分かるかと思います。
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いずれも何を光源にするか、どういう環境で使うかなど諸条件が複雑に絡み合い、慣れるまで戸惑うかも知れませんが、実際には細かな理屈で考えるよりも「慣れたほうが早い」と思います。また、当然大きな光源と小さな光源では「影の付き方」も変わります。
ちなみに、世間に多い誤解として「ディフューザー」とか「ソフトボックス」という機材の名前だけで「同じ」と判断する方がいますが、これは間違いで重要なのは「サイズ」や「材質」なのです。
サイズに関しては前述した光源の「大きさ=面積」で光の質は変わりますし、「ディフューザー」と言ってもスクリム(斜幕)だったり、トレーシングペーパーだったり、ティッシュペーパーだったり「光を拡散させることができる物体」であれば全てディフューザーなのです。そしてそれらは「色温度」にも影響します。
ひとまず重要なことは「細部にこだわる」のではなく「そういうもんなんだー♪」くらいの感じでザックリ理解することです。
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