ワークショップのテキスト
今回は当事務所主催のワークショップで参考にしているテキストのご紹介です。実際にはこれだけではないのですが、この辺が参考になるのでは?ということでこの6冊を今回紹介します。
ワークショップ開催時にはスタジオ内に置いますし、参加された方たちは写真撮ったり実際に中身を見ています。それでは早速ご紹介します。
●Light science & magic
これがベースになります。大きな光源、小さな光源の解説が一番わかりやすいのかな?と思います。なぜ「かな?」と書いているかというと文章の量が多く、単語の意味というか解釈できないフレーズがときどきあるのです。
ただ、ライティングの基本というか、「光とは」というテーマについて詳しく書かれており、これは日本語訳があっても良いんじゃない?と思える本です。
● Light and Shoot 50 Fashion Photos
こちらはワークショップ参加者の中で人気ナンバーワンだと思います。この本の良さはダイアグラム(機材の配置)と作例がページごとに書かれており、カメラの設定値も細かく書かれています。これを見て参考にしたことがけっこうあります。図表が多く、文字を追う必要性が少ないのも○。
ライティングの設置方法が具体的に図で説明されているのはライティングのイメージトレーニングする上で重要です。
●Portrait Photography: Secrets of Posing & Lighting
この本は機材から伝統的なライティングまで広く浅く解説しています。深掘りするというよりは、ライティングとはどういうものかを俯瞰するのに良いように思います。
ただ、活字が多いのが難点。
●Focus On Food Photography for Bloggers
こちらは料理写真の参考にしています。
料理写真というのはけっこうトレンドに左右される部分があると思いますのでなるべく出版年度の新しいものを選んでいます。
この本の場合は自然光や定常光での撮影がほとんどです。また、サンプルの写真のセンスや比較的ダイアグラムや撮影シーンの写真が入っていたりして「ああ、こうやって撮るんだぁ!」みたいなヒントがちりばめられています。
また、タイトルに「for bloggers」とあるように、料理写真をブログやクックパッドなんかに投稿することが多い方には参考になりそうなテクニックが多いと思います。
蛇足ですがこの本って作りがオシャレな雰囲気で、「撮影テクニックの本」という感じがしません。
●Pro Digital Portrait Lighting: The Definitive Reference to Lighting Setups
いきなりこちらを読むことはお勧めしません。この本はけっこうストイック(?)と言いますか、様々な機材でどう光を当てたらどういう影が出るかを淡々と紹介しています。イメージトレーニング用に使っていますが、いきなりこれを読んでもどうなんでしょうか、、、初級者、中級者にはお勧めしません。
また、肌の色別に紹介しており、この辺はやはり洋書ならではです。
イメージトレーニングに最適ですが、実はこちらの写真はこの本からヒントをもらいました。
●One Light Flash: Professional-Quality Lighting on a Budget
活字が多いのだけど、ちょっと英語ができる人ならこの本がおもしろいかも知れません。
機材とか、露出とかの解説もけっこう細かくされており、またワークフロー(ポストプロダクション)まで網羅しています。また「ONE LIGHT FLASH」とあるように、ストロボ一本のライティングを紹介してますし、サンプルも「やれるかも?」みたいなものが多いです。
ただ、ハイスピードシンクロ(要するに日中シンクロ、FPシンクロと言われるテクニック)を理解している必要があります。普通のラジオスレーブやストロボでは1/200以上のシャッタースピードでシンクロしないのですが、この本ではそれ以上のシャッタースピードで撮った写真を解説しているからです。
ひとまず今回は6冊のワークショップのテキストを紹介しました。
(まとめ)
・これらの本をマスターすればワークショップの6割くらいの内容が網羅できます。
・専門用語が多いのですが、英語が苦手な方でも辞書片手に読めばなんとかなります。そもそも私は英語が苦手です。
・日本の出版社から発売されている本で参考になるものが無いわけではありませんが、価格と内容のバランスを考えると「洋書」のほうがバリエーションが多いです。
それで未だに日本は「モノブロック神話」が根深いのですが、これは流通している情報が少なく、古いという致命的な問題があると私は思います。また、フォトグラファー向けののマーケティングについての書籍もありません。日本は市場規模が小さくさほど売れないという事情があると思います。
私がアマチュア時代に購入して読んだライティングの本は10年以上前に出版された本で、そういう本しか選択肢が無く、今思えば金と時間の無駄でした。また、誰が書いているか、というところもポイントですが、私が見る限り「は?」みたいなこと書いている人たちが少なからずいます。本を出しているから大丈夫、とか、正しい、なんてことは一切ありません。
なので日本国内で流通している撮影テクニックの本を買うときは最低でも「出版年度」や「何版目」かを確認してから買うようにしていますし、一冊ではなく複数冊を読み比べて何が本質なのか、を常に考える必要もあります。
ちなみに日本の出版社からは雷鳥社の「写真の学校シリーズ」が比較的お勧めです。内容もほどよくまとまっており、また値段もお手頃な価格帯です。
ひとまずご参考まで。。。
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