天井バウンス考察 ~前編~

今回は「天井バウンス」について考察してみます。よく「天バン」と言われている奴です。「天バン」という略語は「天井バウンス」の略語だと思われるのですが、時折「天井バンス」という方もいらっしゃいます。これはあくまで「Bounce」の略なのでお間違いないように。

それでなぜ「考察」かと言いますと、私自身は「天バン」を滅多にやらないからです(※「壁バン」はちょいちょいやります)。また、今回は影の付き方、というよりは「光の回り方」にスポットを当てています。

それでまずは一番ベタな奴から見てみましょう。

●その1:90度天バン

これはストロボに何も付けず、ただストロボヘッドを天井に向けています。

ただ、そもそも天バンは「天井が低くないと効果がない」です。当スタジオの天井高は2.3mです。なのでそれなりに効果はありますが、天井の高いところだと天バンの効果は期待できません。ただ、天井高を全くものともしない光量のストロボを使えば話は別ですが。

ちなみに、ストロボを発光しないとこういう感じです;

真っ暗です。カメラの設定はISO200、シャッタースピード1/100、絞りはF5.6で、ストロボは1/4(GN58)です。

これをスタートラインと言いますか基準点とし、いろいろ見てみましょう。

さて次:

●その2:45度天バン

ストロボのヘッド部分を45度傾けました。ノーマル天バンよりも被写体に当たる光量が多いのが分かります。

そこで、一つ重要なのは「入射角と反射角」です。光というのは「直進する」という性質があり、光は当たる角度と同じ角度で反射するのです(※「入射角と反射角」については改めて解説予定)。この理屈を理解しているとストロボヘッドを45度に傾けるとどういう結果になるか容易に想像できます。

ひとまずこの二つを比較するとこうなります;

注目すべきポイントは、光の当たっている面が移動している点。90度の場合は天井に反射した光はそのまま90度(この場合真下)に反射していて、一方45度は前方に光が飛んでいる点です。被写体に当たっている光の明るさが異なるのがおわかりになると思います。

●その3:90度キャップディフューザー付き

今度は90度天バンですが、いわゆるキャップディフューザーを付けています。

この場合、「何も付けていない90度天バン」よりは光がディフューズされています。天井に当たっている光の輪郭がぼやけているのが分かります。また、それに加えてストロボ周辺が明るくなっています。

キャップタイプのディフューザーを付けると、その「ディフューザー部分」が発光体になるため、周辺にも光が飛んでいるのが分かります。

こうしてみるとキャップディフューザー付きのほうが何も付けていない状態よりも光が柔らかく、光も回っています。天井が高いような場所であえて天バンさせるような撮り方をするならこういうキャップディフューザーを使うとストロボ周辺にも光が多少なり回るので有効かと思います。

それでここでややこしいことを一つ言いますと、光は反射する物が無いと可視化できない、ということです。キャップディフューザー「有り」も「無し」も同じ光量でストロボを発光させているのですが、「有り」は発光しているのが分かりますが「無し」は発光しているのが分かりません。また、「光の明暗」は反射しているものがあるから分かるのであって、反射するものが無いと分からないということの裏返しでもあります(※実にややこしい理屈で伝わっているかいささか不安ではあります)。

●その4:バウンスボード

さて、前述した「ややこしい理屈」を踏まえ次に進みますが、皆さんお持ちのクリップオンストロボにこういうのが付いているタイプを使っている方は多いと思います。

これはバウンスボードとかキャッチライトパネルと言われているものです。個人的には使ったことないので効果のほどはよく知りませんが、何も付けない天バンの場合、被写体(人物)の目にはキャッチライトが入りません。そこでこのパネルを使うことでキャッチライトを入れるわけです。ちなみにこれを使ってバウンスさせるとこうなります。

何も付けない90度バウンスと違うのは天井に当たった光が切れているってことでしょうか。「バウンスボード」と言われる所以としてはストロボ後方に飛ぶ光を前方に反射する、という意味も含まれていると思いますが、これを使うことで特別前方に飛ぶ光量が増えているようには見えません。なのでやはりあくまで「キャッチライトを入れる」のが目的のようにも思います。

---

ひとまず今回はオーソドックスな天バンについて考察しました。後編ではモディファイヤーを使った考察をします。

(まとめ)

・天井バウンスは天井が低くないと効果が期待できない。

・入射角と反射角の関係を意識する。

・光は反射するものが無いと可視化できない。

ひとまずこれくらい押さえておけばいいんじゃないでしょうか。

【ワークショップはこちらから↓】

今月と来月のあと二回だと思うとちょっとしんみりします。。。。

facebook comments:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>