ストロボ撮影のための「フラッシュエクスポージャー」

今回は「フラッシュエクスポージャー」のお話です。聞き慣れない言葉かもしれませんがこの概念はストロボ撮影する上で避けて通れません。英語で;

Flash Exposure (「ストロボ露出」?)

と書きます。これは欧米では正式な撮影用語としてありますが日本語では「ストロボ露出」と言った感じの意味です。意図していることは;

ストロボの光量(フラッシュパワー)調整によって露出を決める

ということです。「露出トライアングル」の話で、「絞り」、「シャッタースピード」、「ISO感度」について簡単に説明しましたがこのストロボの光量は「4番目の露出決定要素」ということになります。

この4つの露出決定要素を「露出トライアングル(Exposure Triangle)」に対して「Exposure Square(エクスポージャースクエア)」と言ったりします。要するにトライアングルは三角形なので「3つ」、Square(四角形)なので「4つ」ということです。

それで、「光をコントロールする」という点においては他の要素と同じですが、違いは被写体にのみ影響したり、撮影イメージ全体に影響する点です。要するにストロボ光を当てる対象によって変わるということです。

それで具体例としてはまず「被写体にのみストロボ光を当てている例」(今回のトップ↑の写真です);

この場合、カメラの設定はF4.0、ISO100、1/200ですが、中央部分はカメラの設定よりも一段ほど高い(ストロボ光を当てている)です。

そして全体の露出の場合;

この場合、普通に全体にストロボを使ってライティングし、露出を決めています。

どうでしょう?フラッシュエクスポージャーの概念が理解できたでしょうか?いずれにせよ;

ストロボの光量調整で露出を決める

ということを理解してください。単純に言ってしまえばこれだけのことです。

また、ストロボにも「段」の概念があり、ストロボの場合;

1/1、1/2、1/4、1/8、1/16、1/32、1/64、1/128となり、それぞれ一段ずつ変化します。

これはストロボの出力で表されているので、使っているストロボの出力(ワット数やガイドナンバー)で実際の明るさはそれぞれ異なります。

そこでみんなの嫌いな「段」の話の応用です。

(例1) F2.8、1/125、ISO200、1/4

(例2) F4.0、1/125、ISO200、1/2

(例3) F8.0、1/60、ISO800、1/4

(例4) F1.4、1/60、ISO100、1/8

赤字が「ストロボ出力」です。そしてこの4つの露出はすべて「同じ」です。フラッシュエクスポージャーの概念が入っただけで考え方は同じです。

(例1)を基準(スタート地点)に、それぞれを「0」に置き換えて考えます。しつこいですが考え方はみんなの嫌いな「段」の話と全く同じです。ストロボの出力が加わっただけです。それで置き換えるとこうなります。

(例1) (F2.8=0)+(1/125=0)+(ISO200=0)+(1/4=0)=0

それでこの基準となる設定の各項目を一段絞る(光の量を減らす)場合「-1」、一段上げる(光の量を増やす)場合を「1」とします。

(例2) -10+0+1=0

となります。(例2)は一段絞りました(光の量を減らした「-1」)がシャッタースピードとISO感度はそのままで、ストロボの出力を一段上げ(「+1」)たということです。

続いて(例3)の場合;

(例3) -31200

となります。これは(例1)の設定から絞りを3段分絞り、シャッタースピードを1段遅くし、ISO感度を2段上げて、ストロボの出力はそのままです。最後に(例4)です。

(例4) 11-1-10

絞りを1段分開け、シャッタースピードを1段分遅くし、ISO感度を1段下げ、さらにストロボの出力を1段下げています。

それぞれの設定要素にはそれぞれの特徴があり、撮影イメージに応じて設定を変えるわけです。

慣れるまで混乱しますが、これもまた慣れると頭の中でサクッと計算できるようになります。そしてこれが普通に使いこなせるようになるとストロボを使った撮影がものすごーーーーーーーーく楽しくなります。

(まとめ)

・ストロボの出力調整で露出をコントロールする。

・ストロボ撮影の時は絞り、シャッタースピード、ISO感度、ストロボ出力の4つの要素の相関関係を意識しながら露出を決める。

基本的に写真撮影技術というのは「習うより慣れる」ことが一番の近道です。なので手持ちの機材でまずは試してみてください。

ひとまず。

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