露出決定の基本「露出トライアングル」

露出の決定要素には3つあります。F値(絞り)、シャッタースピード、ISO感度です。これは以前簡単に触れました(参考:みんなの嫌いな「段」の話)。

そのときにも少し書いたけど、それぞれが独立して覚えている方が意外と多く、そうじゃなくてその3つの組み合わせで露出は決まる(決める)のです。それでこの3つを図にしたものが最初の「露出トライアングル(英:Exposure Triangle)」と言うわけです。

露出を決めるときにはこの図が常に頭の中でイメージして決めます。しつこーいですが、写真撮影において、あらゆるハイテクな測光方式だろうが、なんだろうが最終的にこの3つの組み合わせで露出を決めているのです。

これは世界共通、普遍の真理です。

それではこの3つの要素それぞれにどのような役割があるのか?一覧にしたのが↓の図です。

まず、すべてに共通しているのは「光のコントロール」ということです。写真は光がないと写りませんので当たり前といえば当たり前ですが、初心者はこのポイントを忘れてしまってハマッてしまい、「難しい」となるのです。

まずはザックリとそれぞれの役割について;

●F値(絞り)

(役割1)被写界深度

絞りを絞る(光を取り込む量を減らす)と被写界深度が深くなり、絞りを開けると(光を取り込む量を増やす)浅くなります(参考:ピントは「点」ではなく「面」で考える)。被写界深度を浅くし、ボカすことを「ボケ」と言いますが、これは英語でも「ボケ=bokeh」です。もともとは日本語なので覚えておくとちょっとしたネタになります。日本人は本当に「ボケ」が好きなんですよ、不思議なことに。

(役割2)ストロボ光のコントロール

ストロボを使って撮影するときに、ストロボ光量をシャッタースピードではコントロールできない場合があります。理由はストロボの閃光とシャッタースピードの同期スピードはせいぜい1/250で、これより早いシャッタースピードだと黒いバーが撮影した写真に入るためです。

(参考:1/250で撮って下部に黒いバーが入った例。)

そうした場合は絞りでストロボ光を調整するか、ストロボ本体で光量調整します。しかし、絞りで調整すると被写界深度に影響しますので全体バランス、撮影意図を考えながら調整します。

ポイントは、F値(絞り)が「被写界深度だけ」という理解では足りないのです。

●シャッタースピード

(役割1)手ぶれ

シャッタースピードが速いほど手ぶれする確率は下がります。一般的に焦点距離の1/1~1/1.5倍のシャッタースピードなら手ぶれしづらいと言われています。たとえば;

焦点距離が100mmの場合→1/100~1/150

ということです。注意しなくてはならないのはセンサーサイズでフルサイズセンサーのカメラでは問題ありませんが、APS-Cサイズのセンサーの場合、フルサイズのカメラよりも焦点距離がレンズに書かれている距離よりも1.5倍ほど長いので注意が必要です。

(役割2)環境光のコントロール

「環境光」というのはストロボのような「閃光」ではなく、常時点灯している光源(定常光光源)や、太陽からの光のことです。こうした光はシャッタースピードでコントロールします(※厳密には絞りでもコントロールしますが、まずはシャッタースピードでコントロールすると覚えておいてください)。なお、シャッタースピードが速いと言うことはそれだけ光を取り込む時間が短いので暗くなります。

また、F値(絞り)のところでも触れましたがストロボを使って撮影する場合は同期速度に注意が必要です。蛇足ですが被写界深度を変えずに取り込む光の量を調整する場合は「NDフィルター」というものを使います。

ポイントは、「シャッタースピード=手ぶれ」だけではないという点です。

●ISO感度

ISO感度の役割は「全体の明るさのコントロール」です。全体が暗かったり、明るかったりした場合にISO感度で調整します。ただ、ISO感度は数字が大きくなるにつれて画像が荒れます。荒れ具合については機種やセンサーの仕様、撮影条件で変わってきます。

ちなみにISO感度を上げることを躊躇する人が多いのですが、ときには「ガツンとISO感度を上げて撮る気合いと勇気」も必要。

ポイントは、ISO感度を上げることを安易に「悪」としてしまうのはよくない。

柔軟に考えること、時には「ルールを壊す」ことも必要ってことです。

 (まとめ)

3つの要素には相関関係があり、常に互いの設定がどう影響するのかを考える。

・慣れるまで多少時間かかるかも知れないけど、ここを理解するのが正念場。

・各要素に関して細かく言えばまだありますが、まずは「全体を大局的に把握する」こと。

「役割1」よりも「役割2」が盲点。プロでも使い分けが曖昧な人が多い。

こんなところでしょうか。この「露出トライアングル」はあくまで環境光下での撮影が前提です。ここにストロボ光が加わるわけですが、まずはこの露出トライアングルを理解すること。特に「役割2」はスピードライトを使って撮るときに必ず必要になる部分です。

慣れれば「撮る」→「液晶モニターで確認する」→「設定を変える」というプロセスの所要時間は1~3秒くらいでできるようになります。これは何度もトライアンドエラーを繰り返しながら体で覚えるのが一番早いです。

一見難しそうですがほんとーーーーに慣れてしまえばなんてことのないことです。

最初にほんの少し努力が必要なだけです。

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