料理写真のライティングのツボ

(F4.0、1/100、ISO100)

今回は「料理写真のライティングのツボ」について。

今、レシピサイトやブログなんかでも料理写真を公開している方たちが非常に多いです。ただ、ちょっと残念な写真や、ほんのちょっとしたコツを押さえるだけで全然変わるのに・・・、という写真は多いです。

それで一口に「料理写真」と言ってもこれといった撮り方があるわけでもなく、もっと言ってしまえば「時代」によって流行が変わるものです。10年ほど前ならパンフォーカス(被写界深度が深い撮り方)だったりしたのですが、最近はカフェブームも手伝ってかボカした感じの写真が多いように思います(なんでも「ボカす風潮」はいささか疑問ではありますが)。

さて、そこで最近の料理写真のライティングですが、奥から手前に光を当てるライティングが主流だと思います。また光の質も「窓際の光」といった柔らか~い感じの光の写真が多いです。なんと言いますか、朝の爽やかな雰囲気というか、曇りの日のソフトな光と言いますか。これは日本に限らず欧米も似たような傾向かな、と思います。

それではさっそく撮り方ですが、まず人工光(ストロボや蛍光灯など)で撮るときは「疑似窓」を作ってそれを料理の後ろに置けばいいということです。たとえばこんな感じです。

けっこう単純です。ちょっとした料理なら畳み半分くらいのスペースで撮影セットが組めます。そしてポイントは「面光源」を使うという点で、今回はソフトボックススピードライトを組み合わせて使っています(※サンプル写真のストロボ(GN58)出力はすべて1/32です)。ちなみにこの程度の撮影セットを組むのに必要な所要時間は3分未満です。スピードライトを使っているので電源不要で設置場所も選ばないので楽です。

なお、この組み合わせじゃなくても定常光光源でもできます。定常光光源だと一眼デジカメはもちろん、コンパクトデジカメでも撮れます。定常光なので「オートモード」で撮ることができるので便利です。

とにかく面光源を「疑似窓」として使うのがポイントです。

あとは白飛び気味に撮ろうが;

(F2.8、1/80、ISO200)

ボカした感じで撮ろうが;

(F2.8、1/100、ISO100)

好みや撮影意図で設定をいろいろと変えて撮ればいいだけです(※こういうときに「露出トライアングル」の考え方が必要になるんです)。撮るアングルもライティングやカメラの設定が決まったら、被写体全体を俯瞰しながらいろいろなアングルで撮ります。

これらの例ではレフ板を使っていませんが、もし手前に写る影が気になるようであれば100円ショップで売っている白いカラーボードを切ったものをレフ板代わりにして、被写体の回りを囲むように置けば解決します。

また、被写体が大きな場合は光源を大きくすると影の付き具合が柔らかくなることも覚えておきたいポイント。

参考:「大きな光源、小さな光源」、「続・大きな光源、小さな光源
※この光源の大小についての考え方はライティングの根幹部分なのでちゃんと理解したほうがいいです。

他に光の質が硬いようなときはさらにディフューザーを被写体との間に挟んだり、窓からの自然光で撮るときはトレーシングペーパーを窓に貼って撮るような場合もあります。この辺はあくまで撮影意図次第なので柔軟に対応できるようにライティングのバリエーションを持っておきたいところです。それに「面光源」に関して言えば専用機材を使わなくてもディフューザーやトレーシングペーパー越しに光を当てるだけで作ることもできます(※前述した「大きな光源、小さな光源」、「続・大きな光源、小さな光源」の応用です)。

実際のところ撮り方やライティングに「正解」はないのですが、今回紹介したライティングテクニックをまず試してみて(これだけでもけっこう十分な気がしますが)、ここからいろいろ広げたり応用して引き出しを増やせばOK。

 (まとめ)

・料理写真のライティングのトレンドは「窓からの光」

・自然光の場合は窓のそばで撮ってみる。

・人工光(ストロボや定常光)では「疑似窓」を作る。

・光の当て方は「奥から手前」をまずやってみる。

・料理写真の撮り方やライティングは時代によって変わる。

今回の内容を踏まえて書店でいろいろ料理関係の本を立ち読みしてみると「ああ」とか「なるほどー」みたいな発見があると思いますし、ライティングのトレンドにも気付きます。

とにかく一度試してみるとすぐ分かります、ぶっちゃけそんなに難しくないですから。

では、今回はこんなところで。

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