ストロボ撮影のための「スピードライト」 ~基礎編~

ストロボ撮影のための「スピードライト」といういささかおかしなタイトルですが、当サイトではスピードライト(いわゆるクリップオンストロボ)を中心に解説していますので一度整理しておこうと思います。なお、「クリップオンストロボと大型ストロボの違い」と重複する部分がありますがまぁ、その点はご容赦を。

今回は「基礎編」ということでごくごく一般的なことについて触れます。

■呼称

意外とこの呼称が複雑と言いますか、曖昧です。

日本では「ストロボ」と言うとクリップオンストロボも大型ストロボも含めた意味で使われます。また、「フラッシュ」も同じ意味で使われます。海外でもこの状況にさほど差はありません。

ストロボ=フラッシュ=クリップオンストロボ=スピードライト

モノブロックストロボ(電源内蔵)やジェネレータータイプ(電源外付け)は「大型ストロボ」とかやはり「ストロボ」とか言います。

ただ、「ストロボ」は登録商標のため、クリップオンストロボを「スピードライト」と呼んでいるメーカーもありますし、ユーザー側も大型ストロボと差別化するために「スピードライト」や「クリップオンストロボ」と呼んだりしているのが現状です。

こればかりは都度どの呼称を使っているかの状況で判断するしかありません。

■ガイドナンバー

ガイドナンバーはストロボの出力を表す単位です。製品の仕様表なんかに書かれています。なお、数字が大きければ大きいほどパワーがあるということですが、オフカメラストロボ撮影用に選ぶときのポイントは;

・ガイドナンバー40以上

・光量調整が可能なもの

です。特に光量調整ができずにガイドナンバーだけ大きな製品は何の役にも立ちません。逆に出力が弱くても光量調整できる製品であれば使い道は多いです。

■光量

クリップオンストロボは光量が足りないと思われていますが、現在市販されているもので最大光量のものはガイドナンバー60の製品があり、光量だけで言うなら400wクラスのモノブロックストロボと遜色ないレベルになっています。また、光量が足りない場合でも数を増やすことで光量不足を補うことが可能です。

なお、スピードライトを束ねて使うと言っても、専用のブラケットを使ってもいいし、ビニールテープなどでただ縛る方法もあり、この辺は好みや用途で臨機応変に。

■照射角度

最近のスピードライトの上位機種はほとんど「照射角度」が変えられます。さらにカメラのズームと連動して変化できたり多機能です。それで、オフカメラストロボで使う場合はほぼマニュアルで設定することになるので実際にどういう変化をするかを知っていたほうがいいです。

それで照射角度を焦点距離換算で24mmから105mmまでの7段階で変化させたのが以下のGIFアニメです。

まずは横向き;

次に正面;

アンブレラソフトボックスを使う場合はさほど気にする必要ないと思いますが、ベアバルブ(発光部分に何も付けない)で使う場合は重要です。ちなみに広角になるほど光の到達距離は短くなりますのでご注意を。

■光の「形」

スピードライトの発光部分は「長方形」です。それゆえに発光される光も長方形です。

ストロボ

従って照射される光の形も長方形になっています。

それでスピードライトの構造上、カメラの上部に取り付けるので照射される光がレンズに干渉しないような設計になっており、光の照射が若干ながら上に広がっています。

■自動調光(TTL)

オフカメラストロボで自動調光(※カメラメーカーによって呼称は変わります)を利用する機会は無いと思います。ましてやアンブレラソフトボックスを使う場合、自動調光はスピードライトの測光部分が被写体と関係ない向きになりますので意味がないです。

ただし、そうは言ってもカメラに直接取り付けて使う場合などは便利なので多少高価でもカメラ純正のスピードライトを一つくらいは持っていた方が良いと思います。理由としては純正品の場合;

・各社独自の自動調光に対応している。

・ハイスピードシンクロに対応している。

大きくはこの2点です(※買う前に確認してくださいよ)。特にハイスピードシンクロは使うことはさほど無いと思いますが、それでも使わざる得ない状況がゼロでもなく、使えると撮影バリエーションが増えます。

■拡張性

「スピードライトに拡張性?」と思われるかも知れませんが、一応拡張性のある製品が出ています。ただ、各メーカーのハイエンドモデルなので高いです。それで何ができるかというと;

○その1:PCポート

そもそもなぜ「PCポート」と言うかと言いますと「Prontor-Compur」の略でISO519の規格にあり、シャッターとストロボの同期用の規格のようです。それでこれは世界共通です。なお、PCポートに対してこれに使うコードのことを「PCコード」とか「PCケーブル」とか言います。(英語では「Sync Code」が多いように思います)。なお、日本では「シンクロ端子」と言うのが一般的かも知れません。

それでこのPCポートにはシンクロケーブルやラジオスレーブの受信機を繋ぎます。

こうして繋ぐことでスピードライトの設置に柔軟性が生まれます。

○外部電源端子

ここには各メーカー用のバッテリーパックを繋げます。

こういうやつです↓;

これには単三乾電池が入っていて(8本入ります)、どうなるかと言うと、リサイクルタイムの短縮です。使用回数が増えると言われていますが、容量が3倍になるので当たり前です。それよりもこれを使うメリットはリサイクルタイムの短縮しか無いです。特に連続発光させるときに有効ですが、絶対必要かと言われれば撮影スタイルに依存するので一概には言えません。無くても意外と平気です。

それでこの2つを繋ぐとこうなります;

■取り付け足は「鉄製」を選ぶ

基礎編の最後はスピードライトの「取り付け足」の部分です。

これはスピードライトを固定するのにこの部分をラジオスレーブに取り付けたり、コールドシューに付けるのでかなりの強度が必要で、「プラスチック製」だとあっさり壊れます。

スピードライトをこうしてオフカメラで使う場合、使っている最中に脱落するリスクがあるためで、この部分が重要になってきます。性能も大事ですが、こうした部分がしっかりした製品を選ぶことが重要になってきます。

---

今回は「基礎編」ですがこれくらい理解していればひとまずOKでしょう。

(まとめ)

・「ストロボ=フラッシュ=クリップオンストロボ=スピードライト」

・「PCポート=PC端子=シンクロ端子」

・「PCケーブル=PCコード=シンクロケーブル=シンクロコード」

・選ぶときは光量調整のできる製品を選ぶ。

・ガイドナンバーは40以上の製品が好ましい。

・「スピードライト」と言ってもいろいろと独特の仕様がある。

それで実際に使用していく中で自分が使いやすいように工夫したり、撮影スタイルによって改造するようになります。「絶対こうしなきゃダメ!」ということは何一つありませんので。

facebook comments:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>