Category Archives: 写真撮影の基礎

狭い場所での料理撮影 ~後編~

さて、前編では撮影機材を使った例を紹介しました。

今回はバウンスを活用した例をご紹介します(P-82、P-132参照)。

狭い場所で撮影するときに、撮影機材が設置できない、もしくは大きな光源(P-66)を使いたいと言ったときに「壁」を使います。今回撮影したスペースで大きなアンブレラやソフトボックスを設置するスペースはありません。そういうときは壁を使って光源を作ります。

●天井バウンス

まずは天井バウンスから。

写真では分かりづらいですがこちらのお店の照明は暗めです。飲食店(特にお酒出すようなお店)の場合暗いことが多いです。そりゃ写真撮るためにお店をデザインしませんので当たり前です。でも、そうした環境でも撮らないとならないわけで、しかも狭いとなると使えそうな物はなんでも使います。光源のサイズも重要ですが、とにかく明るさを確保しないとなりません。

そこでこうした天井バウンスだと大きな光源を作り易いです。それでは早速撮ってみます。

光の周り方としてはむら無く回ってます。また真上からのバウンス光なので影も真下に出ています。でも、環境光の影響で少し赤くなっています。実際のところ店内照明が暖色系なので実際の見た目に近いです(※カメラのホワイトバランスは「オート」)。

さて、どうしたものか?これでも良いという判断もあれば、料理そのものの色味を出したいという判断もあります。ただ、もうすでにご承知かと思いますが、LightroomやPhotoshopで色温度を変えるだけです。多少の色温度の違いは後で修正可能なのであれば光の周り方や影付きに集中するという撮影スタイルもありです。実際にはテザー撮影(P-140)の場合は都度パソコンで確認できるので、不安なときはその場で色温度変えて確認します。

(左が修正前、右が修正後です。)

 これまた面倒な話ですが、右の修正したものは少し寒々しい印象(個人的見解)し、これが良いという判断もあります。「前編」でも書きましたがこのあたりは写真を使う人の好みだし、何をどう表現したいかに依存する部分だなぁ、と思います。毎回撮るたびに悩ましいところです。

●壁バウンス

さて、次に「壁バウンス」です。壁バウンスするには天井が高い場合なんかに使えると思います。天井バウンス同様大きな光源を作る目的もあります。

ストロボの手前に置いてあるレフ板について説明すると、壁バウンスの場合は天井バウンスと異なり、反射してくる光の逆側の光量が落ち、影が出るのでそれを補う目的で置きました。

また、このセッティングの場合、ストロボ光の影響も受ける(ストロボ直に近い光質になる)のでレフ板を置くことで影付きを弱める目的もあります。

さて、とりあえずセッティングが決まればあとは撮ります。

今回は壁とストロボの距離が離れていたので光量を1/2(GN60)にしています。F値も4.0に変えて手前より奥側を少しぼかしています。また、大きな光源なので料理の左右や俯瞰などいろいろなアングルで撮ります。

さて、ここでいろいろな料理を撮ってきました。すると食べられることもなく料理が「待機」してまして、こうした大きな光源で撮っているときは最後に集合写真を撮ります。

こうしてみるとそれっぽいアングルですが実際の撮影テーブルはこんな感じです。

狭いながらも料理の位置や自分の撮る位置を変えながら撮ります。与えられた環境の中でベストを尽くすことだけを心がけます。

余談ですが、パエリアは乾き、アヒージョは油が固まり始めてくるのでスピード重視ですw

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さて、二回にわたり久しぶりの更新でした。いずれも拙著の内容です。お持ちの方はいまいちど読み返し、練習してみてください。




狭い場所での料理撮影 ~前編~

今年の2月に拙著が販売され、なかなかご好評頂いております<(_ _)>

それで今回は拙著の内容の延長で「狭い場所での料理撮影」について解説してみようと思います(P-138参照)。

まず、実際の撮影現場というのは撮影条件がこちらの都合にマッチするということなんてあるわけもなく、常に何かしら制限があるものでそんなのいちいち気にしてても仕方ないのでその環境でできることをやるしかないわけです。特に狭い場所の場合は機材の選定も考える必要があるのですが、今回の撮影スペースは飲食店の一角で、広さにして畳み2畳くらいのスペースでした。

ライトスタンドを立てるスペースも限られてますし、そもそもテーブルが小さいという制限があります。それで今回は33インチのボックスアンブレラを使います。

それで33インチを選んだのはむろんスペースの制約があるからで、ソフトボックスを使うスペースもなく、43インチくらいのサイズだと撮影時のワーキングスペースの確保が難しいという判断です。実のところ43インチサイズは使い勝手が良いというか、割と万能なのですがやはり物理的に大きく、今回は撮影に使うテーブルのサイズも小さいということもあり小さいサイズを選びました。

露出の設定についてはストロボ1/4(GN60)、F8.0、ISO200、シャッタースピード1/125でチェックします。アンブレラも実際にテストしてみると今回使うテーブルをカバーするくらいの光は回ります。

実際の撮影風景はこんな感じ。

それでボックスタイプのアンブレラを使った理由ですが、普通のアンブレラでも大丈夫だと思いつつ、ディフューザー無しのアンブレラで撮影した場合、光がまだらになったり、シャフトが写り込む可能性があるからです(あくまで個人の経験則なのでそこは好みです)。特に料理の場合は汁気や油分があるのでてかり易いのでね。

ライティングが決まればあとはひたすら撮るだけです。斜めからでも俯瞰でも撮りながら微調整をします。

それでディフューザー付きのアンブレラということで言うと普通のアンブレラにディフューザーを付けて使う場合もあります。

使っているディフューザーは41インチサイズですが、今回は36インチの折り畳みタイプのアンブレラに付けて使いました。

アンブレラがディフューザーより小さいので多少ぶかぶかな感じでしたがとりあえず付いたので使います。機材の使い方というか使い分けは臨機応変に。

それで撮ってみると被写体のてかりが気になり、ストロボ光を一段落としました(この辺は各自の判断です)。

ちなみに料理撮影の場合、次々に料理が出てくることが多いのでかなりテンポやスピードが必要になります。また、せっかくなので複数の料理を並べて撮ったりもします。

最初の作例よりもストロボ光を一段落としてますので露出が変わってますが、露出に関しては後から補正することも想定してどんどん撮影していきます。拙著のP-57でも書きましたが、露出(明るさ)に関して言うと人によりけりだったりします。例えば;

この3つの露出の違いの中でどれが良いかなんて各自の好みです。端的に言うならば実際にこの「写真を使う人」の好みが「正解」です。


それで撮っていてどうしてもてかりが気になる時は向きを変えたり入射角と反射角の原理(P-62)を考えながら撮ります。

このあたりに正解があるわけでは無いのでいつも悩ましいところではありますが、、、

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さて、久しぶりの更新だったのでいささかぎこちない感が否めませんが、「後編」ではバウンスを使った例をご紹介します。




Pモードの応用

以前、被写体露出と背景露出について説明しました。

要するに、被写体と背景の露出を別々に考えることで露出をどう決めるか、ということです。それで「そんなこと言われても・・・」とか「難しそうだから・・・」という方向けにちょっとしたテクニックをご紹介します。

今の一眼デジカメにはいろいろな撮影モードが搭載されていますが、その中に「P」と書かれているモードがあると思います。これを「Pモード」とか、「プログラムモード」とか「プログラムAE(AEはAutoExposureの略)」と言って、カメラが自動的に露出を決めてくれるモードです。ちなみにこのモードでは内蔵ストロボは勝手に発光しません。

このモードを使って背景露出を決めるわけです。ひとまずどうやるか説明します。

まず、カメラの設定をPモードにして撮影します;

測光方式にもよりますが、カメラが適正露出と判断した結果がこれです。ちなみに設定はF4.0、1/40、ISO100でした。

次に恐らくどの一眼デジカメにも付いている機能だと思いますが、「露出補正機能」を使って全体の明るさをコントロールします。最近のカメラは上下に±3段分くらい調整可能だと思います。また、カメラの液晶モニタでも補正量を確認できるようになっている機種が多いと思います。

機種によってはファインダーの中にも表示されます。

さて、そこで最初に撮った「スタート地点の一枚」を明るくするのか、暗くするのか決めて再度テスト撮影をします。

●一段分明るく

この時のカメラの設定はF4.0、1/40、ISO200です。そこで次に一段暗くしてみます。

この設定はF5.0、1/50、ISO100です。整理すると;

・一枚目:F4.0、1/40、ISO100(±0段(スタート地点))

・二枚目:F4.0、1/40、ISO200(+1段)

・三枚目:F5.0、1/50、ISO100(-1段)

となりました。それでこれは以前説明した「みんな嫌いな『段』の話」と全く同じ考え方です。それを自分でやるのか、カメラが自動でやるかの違いです。

ここでは背景を明るくしたいので「+1段」を選びます。

明るいですが被写体(ぬいぐるみ)が暗いのでここでストロボを使います。

光量はひとまずガイドナンバー58のストロボで1/32に設定しました。ちょっと明るすぎるかな?ということでストロボの光量を一段落とします。

微妙な違いにも見えますが、光量を一段落としたことで自然な光量になった(?)と思います(※ここは主観なのでさほどナーバスに比較しないようにw)。

それでこの「ストロボの光量を調整する」というのは「フラッシュエクスポージャー」の考え方と同じですし、、被写体露出と背景露出の説明の時にも触れています。

さて、どうですか?おそらくこの方法ならば難しく考えなくてもできると思います。

(まとめ)

・とりあえずやってみるならPモードを使うと割と簡単にできる。

・ただ、仕事や具体的な撮影意図があるときはそれぞれの要素を自分で決める必要がある。あくまでこの方法は参考程度に。

難しいと思ってまだチャレンジしてない方はもちろん、上級者でも背景露出がイマイチ決まらないという方も一度試してみると良いと思います。

ひとまず。

(ワークショップについて)

4/25開催のワークショップですが、募集中ですので興味のある方は是非。

基本的に当ブログを繰り返し読み、実際に試せば理解はできると思っていますが、やはり過去の受講者の方たちの反応を見ていると、読むだけよりも実際に「体感すること」で理解が深まったり、しっかり自分の知識になります。

ちなみに申し込みされた方には「事前に予習すること」と「分からないところを整理しておくこと」を強く推奨しています。そのほうが何も準備をせずにワークショップに参加するよりも、支払った価格以上の価値を得ることができるからです。




露出の要素分解 ~背景露出と被写体露出~

今回は「背景露出と被写体露出」のお話です。

先に言っておきますが、この「背景露出」、「被写体露出」というのは私の造語です。ググってませんので実際どうか知りませんが、当サイトでは「私の造語なので、他の人に聞いても誰も知らない可能性があるよ!」という認識で読んでください。

それで、これは何の話かというと、ワークショップの受講生、卒業生、いずれからも「ミックス光」、もしくは「多投発光」でのライティングの質問を少なからず受けまして、その点踏まえて最近のワークショップではその解説しているのですがやはり皆さんの課題として根深いと思いましたので解説しておこうと思います。

ちなみに以前、ここでもちょっと触れてます;

ワークショップの告知と小ネタ

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まず、ミックス光、多投発光の際に、皆さんが陥る間違いが一つあり;

一発で決めようとする

ことです。↑のような写真になって「???」となる方が少なくないです。

正直なところ一発で決まることなんてありませんw(ここで私は一発で決めるけどなー、みたいに書いてしまうと格好良いんですけどね、実はそうでもないです(後述))

それでまず、考え方としてそれぞれの「面」を要素分解して露出を決めることから始めます。

結論から先に言うと、こういうイメージです;

写真というのは平面(2D)ですが、実際にその写真の中に写るものは立体(3D)であり、それらをひとつずつの「面」として要素分解して考えるわけです。この「面で考える」という概念はピントと同じで過去に説明しています。

参考:ピントは「点」ではなく「面」で考える。

ここまでいいですかね?

それで比較的簡単にやる方法としては「背景露出」から決める方法です。まず最初に基準(スタート地点)となる一枚をテスト撮影します。このスタート地点の露出は任意で構いません。

●F8.0、ISO200、1/125

この例では外光とのミックス光です。まだ窓の外が暗いです。それでシャッタースピードで環境光をコントロールするのでシャッタースピードを一段遅くします。

●F8.0、ISO200、1/60

最初の作例よりも明るくなりましたが、まだちょっと暗い。そこでさらに一段遅くします。

●F8.0、ISO200、1/30

ひとまず、こんな感じでしょうか。これで背景の露出が決まりました。次に被写体の露出を決めるのですが、ここでストロボを発光させてテストします。

この前の作例に、外光の明るさはそのままにストロボ光が加わっただけです。

この場合、ストロボ光が強すぎて影がはっきり出てしまっていますし、不自然な光です。ここでストロボの光量を変えます(フラッシュエクスポージャー)。カメラ側の設定は変える必要ありません。

さて、ストロボ光を二段落とします。

前の作例よりも光量を落とし、ほどよい光量で被写体に当てています。この前の作例よりも光量を下げているので光の不自然さが無くなりました。

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今回の作例はいささか微妙な気がしますが、あくまで「考え方」としてはこういうことです。また、一番最初に「私でも一発で決まらない」と書きましたが、実際のところ一発で決まることが無いわけではありませんが、それでも数回テスト撮影してから本番撮影します。ただ、一点皆さんと違うとするならば意思決定のスピードでしょうか。これは慣れだと思いますが、せいぜい2、3秒です。そうは言っても、この図(↓)が頭の中をぐるぐるする早さが早いだけです。

ワークショップでも言い続けてますが、この原則から外れることなんて無いんです。

(まとめ)

・多投発光、ミックス光のときは「背景」と「被写体」それぞれの露出を考える。

・一発で決めるのでは無く、要素分解して考える。

・撮影意図、撮影イメージを明確にする。

こんなところでしょうか。

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ワークショップに関して数名からお問い合わせを頂いていますが、3月はしません。4月はやる予定でいますがまだ日程は未定です。決まり次第告知しますのでお待ちください<(_ _)>




ワークショップの案内と補足

まずはワークショップの案内から。

次回開催日が決定しました。2/21(土)です。

  • 日程:2/21(土)
  • 時刻:14:00~17:00(延長の可能性アリ)
  • 場所:UNPLUGGED STUDIO Shibuya
  • 費用:22,000円(税込み)
  • 定員:5名(定員に満たなくても募集を締め切る場合があります)
  • ※終了後は希望者がいれば「懇親会」と称して飲み会を開催します(費用は単純にワリカンです)。

内容についてはみなさんご存知かと思いますが、下記でご確認ください。

ワークショップのご案内

ちなみにですが、ここのところ申し込みが以前より増えておりますので参加ご希望の方はお早めに(かといって殺到するようなこともありませんがw)。

それでいくつか補足ネタを。

まずは先日書きました「光源のサイズ」についてですが、大きな光源の使用例として「集合写真」があります。

こちらは70inchのホワイトアンブレラを使っている例です。大きな光源は光が柔らかくなりますが、均一な光質で広い範囲をカバーできるというわけです。ただ、70インチあればどんな集合写真でも撮れるかと言われると、それまた違います。必要であれば二本使って両サイドから照射する場合もあります。このあたりは好みや経験則で決めるしかないです。「これが正解」ということはありません。
(フォトグラファー:野崎祐子、協力:LOVE☆HOPダンススクール

それともう一つ。先日のワークショップでご質問頂いたポートレートの背景について。

こちらのモデルさんの背景が「グレー」になっているのがわかると思います。

それでこれは白背景の前で撮っているのですが(F5.6、1/125、ISO100)、白背景でも背景をグレーにしたい場合、背景と被写体の位置を離せばいいのです。

逆に背景に被写体を近づけると当然白背景なので白くなります。

これは逆二乗の法則の応用で、遠くなるほど光が弱くなる=暗くなる、という理屈の応用です。他に明るい背景を暗く、もしくは色濃くしたい場合も同様です。基本的なことですが、こうしたことの応用がライティングテクニックということです。

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いささか雑多な内容になりましたがご参考まで。

ひとまず。




光源は照射面積で考える。~影をコントロール~

久しぶりの更新です。

今回はライティングを決める上でのキモとなる「光源」についてです。

かなり最初の頃に、「大きな光源・小さな光源」について解説しています。また、ワークショップの最初のほうのカリキュラムでもこれについて解説しています。ひとまず過去の記事をご紹介すると;

・大きな光源、小さな光源

・続・大きな光源、小さな光源

また関連するトピックとしてこちらもご参考に;

・図解!「太陽」は大きな光源か小さな光源か

写真撮影におけるライティングの光源というのは、究極的には「影をコントロールする」ということだと思います(個人的に)。光質もむろんありますが、柔らかい光=影が弱い、硬い光=影が強いということになり、それを左右するのが「大きな光源、小さな光源」ということです。

ちなみに、ここで言う「光源」は「光量のことではない」です。割と「大きな光源」と「大きな光量」を混同されている方がいますが(というか言葉の定義の問題なのでややこしいですが)、まず、写真撮影における光源は「大きいか小さいか」で考えるほうが理解が早いです。

(※蛇足:前述しましたが言葉の定義なのでややこしいのだけど、ストロボ光、定常光なども「光源」です。そこの使い分けは都度状況で使い分けるしかない。また、英語でも”LightSourse”と言いますし、同様に使い分けてるようです)。

さて、先に結論から書きますが、光源の大小は「照射面積」で考えます。要するに照射面積が大きいほど影付きが弱く(柔らかく)なります。

そこでソフトボックスでサイズの比較をしてみます。

写真が小さいので見づらいのですが、撮影意図に応じてこうしたサイズを使い分けるわけです。

それぞれ反射型と直射型で光質は異なりますが、原理としては「照射面積のサイズ」によって影付きが変わります。それで↑の写真にストロボ(何も付けていない状態)も置いてますが、ストロボと比較するだけでも照射面積のサイズが影付きに影響するというのが直感的にわかると思います。

むろん、アンブレラも同様です。


それで注意したいのは多少大きさが違う程度(60インチと70インチなど)だとその差は僅差(感じづらい場合が多い気がする、ということね)です。また、被写体のサイズや、被写体の質感などでも変わります。このあたりは好みや撮影意図で使い分けることになりますし、経験を積んでその違いを自分の感じ方で理解するしかない。それに、それぞれのライティング機材には一長一短あるのも事実です。そのあたりは十把一絡げで説明するのが難しいところです。

たまに、「こういう場合はどれがいいですか?」と聞かれるのですが、そこに答えは無いわけで、「好みと撮影意図ですよ」と答えてます。正直なところそれ以上に答えようが無いわけです。強いて言うならポートレートなら、男性なら小さめ(影強い)、女性なら大きめ(影弱い)、というのが一つの選び方なのかなぁ、とは思いますし、ひとまず43インチのアンブレラ買っとけば?となります。

(まとめ)

・光源の大小は「照射面積」で考える。

・光源の大小で「影の付き方」をコントロールする。

・撮影意図=影の付き方、を具体的にイメージする。

こんなところでしょうか。ほんとこのあたりについては活字で説明するのが難しく、間違った理解をされると困る部分なのでワークショップでもけっこう回りくどく説明している部分ではあります。

ひとまず。

(補足)

基本的にシルバーアンブレラでも原理は同じです。ただ、シルバーアンブレラの場合、かなりシビアに光軸の影響を受けるので(検証中)、今回は触れてません。いずれ解説できる日が来るといいなぁ、とは思ってます。個人的には好んで使ってますけど。

(ワークショップに関して)

告知が遅くなりましたが今週末開催予定のワークショップはすでに募集を締め切っております。次回開催は未定です。

恐らく、次回はけっこう直前の告知になりそうな気がしてますが。。。




ワークショップの告知と小ネタ

さて、今回はワークショップの告知と小ネタです。

次回、ワークショップは来年の1月24日(土)を予定しています。開催概要はこちらでご確認ください。開始時間は14時を予定しています。

  • 日程:1/24(土)
  • 時刻:14:00~17:00(延長の可能性アリ)
  • 場所:UNPLUGGED STUDIO Shibuya
  • 費用:22,000円(税込み)
  • 定員:5名(定員に満たなくても募集を締め切る場合があります)
  • ※終了後は希望者がいれば「懇親会」と称して飲み会を開催します(費用は単純にワリカンです)。

内容についてはみなさんご存知かと思いますが、下記でご確認ください。

ワークショップのご案内

ちなみにです毎回カリキュラムの修正をしているので、若干記載の内容と違う場合がありますので。

ご興味のある方はお早めにご連絡ください。

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さて、小ネタ、です。小ネタと言っても割と重要なポイントです。ならば1つのトピックスとして取り上げるべきとも思うのですが、これが紙面の制限と言いますか、面倒なのでシンプルに、あまり深掘りしない感じで説明します。

それで何かというとストロボ光と自然光のミックス光での撮影です。これは時折質問頂くのですが、けっこうドツボにはまる方もいるようです。ただ、常日頃言い続けてますが、絞り、シャッタースピード、ISO感度、ストロボ光量、この4つの相関関係でオフカメラストロボの設定は決めます。これ以外に何もないです。

端的には以下のチャートに集約されています。

 

それで、前述したストロボ光と自然光の下で撮影した場合、よく外光が暗くなるというものです。特に窓越しの光がつぶれてしまうことが多いようです。

●F5.6、1/125、ISO200

これは撮影した時間帯のせいで窓の外が暗いのですが、やはり窓の外を明るくする場合どうするか?分かるとあっさりわかるのですが、なかなか気付かない部分です。

ちなみに絞りとストロボの光量は一定です。

●F5.6、1/15、ISO200

こちらはシャッタースピードを1/15に変えた例です。1/125から3段分明るくなってます。全体も明るくなりますが明らかに窓の外が明るくなっているのが分かると思います。チャートのシャッタースピードのところに「環境光をコントロール」というのはそういう意味です。

さらに、今度はシャッタースピードとISO感度も変えてみます。

●F5.6、1/60、ISO400

さて、どうでしょうか?上記2つの露出は同じです(※理論上ね)。これが前述した4つのパラメーターの組み合わせである、ということになります。

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このあたりについてはもっと深掘りして解説したいところですが、これがけっこう面倒なんですwこの辺は小手先のテクニックと言うよりも原理原則をがっちり理解してないとなかなかたどり着けない部分ですし、それを一から文章で説明するのは労力がかなり必要、ということです。

ただ、以前からワークショップでやらないとならないと思いつつ、一度試しに入れたのですが時間の制約もあってなかなか正式にカリキュラムに入れられない「隠れたツボ」です。

ご参考まで。。。




テザー撮影とワークフローのはなし

今回はすでに実践されている方もいるかも知れませんが、「テザー撮影」についてのお話です。それでついでなのでワークフロー(私の場合)なども少し解説します。むしろご質問いただくのはワークフローのほうが多いように思いますが、別に隠すようなことじゃないので書いてしまいます。

まず、テザー撮影ですが、何かというと撮影した写真をその場でPCに取り込み確認する撮影方法で、最近では一眼レフデジカメを買ったときについてくるメーカーの付属ソフトでもできるようです。はっきり言ってしまえばさほど難しくも特別なものでもなく、カメラとPCあればどなたでもチャレンジできるんじゃないでしょうかね。

それでは何が必要かというところから始めますと;

・カメラ(テザー撮影の可否はカメラの機種によって異なるので、どんなカメラでもできるわけではないです)

・PC(デスクトップ、ノート関係ないです)

・テザー撮影に対応しているソフトウエア(私はLightroomを使っているので今回Lightroomで解説します)

・USBケーブル(これが意外と重要で、最低でも2m以上のものを用意しましょう)

こんなもんでしょうか。恐らくキャノンやニコンの一眼デジカメユーザーならUSBケーブルさえあれば、付属ソフトですぐできるんじゃないでしょうか?(※確かEOSUtilityはできたように記憶してますが、数年前に一度使ったくらいなのでマニュアル読んで確認してみてください。)。

さて、実際に繋げるとこういう感じです;

こんなもんです。何も難しいことはありません。カメラとPCをUSBケーブルで繋いであとはソフトウェアを起動し、テザー撮影のモードにすればOK。

するとあとはパシャパシャ撮影するとPCのモニタに撮影された順番で映し出されます。これは便利です。

(テザー撮影中はツールバーが表示されます。※↑クリックで拡大)

それでここまで説明しておわかりの通り、難しいことは全くありません。かなりあっさりできてしまいます。

当然、実際の画面で確認するのでカメラの背面モニタよりも大きいですし、必要なら「その場」で色の調整や明るさ調整もできます。また、実際の仕事で便利なのは、写真のテイストの「有り無し」の判断をクライアントやモデルさんにして貰いやすくなります。実際のところ、カメラの画面でも確認できますが、仕事でやる撮影の場合は撮り直しなんてできるわけないですし、可能な限りクライアントの様子(というか顔色)伺いながら撮ったほうが安心です。怒られるならその場で怒られたほうがいいんです!撮り直せるならそのタイミングを逃さない!ことが重要(私の主観w)

ここで、なぜ無線じゃなく有線?という疑問が沸いてきます。ここからは私の主観というか経験則ですが、無線は転送速度が遅いのと、それ以上に不確定要素が多いように思います。要するに繋がらなかった場合の原因究明がしづらいというか、不良となる要因がどこかわからないからです。

確かに無線のほうが今風で格好いいのですが、仕事でやる以上、不確定要素は極力排除したいのです。

さらに私の経験則で言ってしまえば、トラブルは想定外のことしか起こらない、機材は現場でしか壊れない、予備やスペアが無いものが壊れるのが常ですw

また、テザー撮影中に起きるトラブルの典型例としてカメラが「ビジー(busyと表示された状態)」になるトラブル(キャノンの場合)です。かなり良い調子でバシャバシャ撮っているときにメモリがフローするのかカメラもPC側もフリーズします。これは本当に焦ります。

ちなみに「busy」と表示されているから放置しておけば戻るかというか、そんなことはありません。しかも撮影中にしか起こらないトラブルです。そういうときはUSBケーブルを抜き、Lightroomを再起動することにしています。絶対待っていても復活しませんし、仮に復活するにしても撮影中断していることに変わりはありません。

こういう時、変な汗が全身から噴き出るとともに、現場の空気が凍り付きます・・・。必死にトークで繋いでも、クライアントには「やばい空気」が伝わりますw

さらに、よくあるのですが、トラブルというほどではないものの、カメラに挿しているUSBケーブルがちょっとどっか引っかけた程度で抜けるというアクシデントは起こります。

ご覧の通りカメラのUSBポートにケーブル挿しているだけですし、USBケーブルと言えどもそれなりの長さになると重量もあり、ちょっとしたはずみで抜けてしまいます。その都度繋ぎ直すのも撮影のリズムを阻害しますのでそういうときはこんな感じにします。

カメラのストラップを通す金具に、針金でもヒモでも良いんですが、小さな輪を作ってUSBケーブルをそこに一回し通してから挿します。これで前述した「USBケーブルが抜けるアクシデント」は多少なり避けることができます。しかも一切お金かかりません。

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さて、テザー撮影とワークフロー(というか裏話?)を説明しました。やったことない、もしくはやってみたいと思っている方は一度トライしてみてください。

ワークフローに関してはもう少し書きたいところですが、さほど特別なことをしているわけでもないですし、人によって異なる部分です。ただ、改めて(参考程度ですが)私のワークフローをご紹介しようと思っています。

ひとまず、ご参考まで。。。。